Campus Life News
キャンパスライフ ニュース

フェニックス・モザイク作者・今井兼次設計の庁舎を保存、活用する千葉県大多喜町の西郡栄一副町長が来学

お知らせ

2022.01.28

1/18(火)、今井兼次設計の庁舎を保存、活用する千葉県大多喜町の西郡栄一副町長が来学、東洋学園史料室で開催中の「モザイク壁画竣工60周年記念ミニ企画展」を見学されました。

右から2人目が西郡栄一大多喜町副町長

西郡氏から左へ愛知太郎学校法人東洋学園理事長・大学学長、江澤雄一顧問(前理事長)、麻生克美大多喜町総務課長、市原芳則同町企画課長、江澤玲子氏(江澤雄一夫人)。西郡氏の右は大多喜町役場旧庁舎(現、中庁舎)修復、保存の記録『大多喜町役場 庁舎の歴史と再生』(2014年)執筆者の金出ミチル氏
バックのスライド写真は大多喜町役場屋上ペントハウスのモザイク壁画とベルタワー

今井兼次が手掛けた陶片モザイクに彩られる建築は、本学を含め全国5ケ所に存在します。
千葉県大多喜町役場庁舎は記念すべき最初の作品です。

大多喜町役場中庁舎

竣工 1959(昭和34)年 設計:今井兼次
1959年度 日本建築学会賞(作品)
修復 2012(平成24)年
2013年度 ユネスコアジア太平洋文化遺産保全賞 功績賞、BCS賞
2015年度  BELCA賞、国登録有形文化財
2016年度 日本建築学会作品選奨(含増築棟=本庁舎)

庁舎屋上ペントハウスのモザイク壁画「西の壁」とベルタワー

モダニズム建築に地域色とヒューマニティを汲む装飾を纏った大多喜町役場庁舎は早稲田大学での教育、研究を専らとしていた今井兼次が気鋭の建築家として広く認識されるきっかけとなった作品であり、また、生活の器の陶片をも用いたモザイクで壁面を飾った記念すべき第一作です。

大多喜町は竣工から半世紀を経た庁舎を解体せず、再生して後代に引き継ぐ英断を下しました。建て替え、再開発で街並みが激しく変化し続ける我が国にあって高い見識を示した同町に対し、国際連合教育科学文化機関はユネスコアジア太平洋文化遺産保全賞「功績賞」を以て称えました。

庁舎はあまたの受賞歴に彩られる(上:日本建築学会賞1959/下:ユネスコアジア太平洋文化遺産保全賞「功績賞」2013)

本企画展では現存する「岩間がくれの菫花」のほか、校舎建て替え時に失われた4作品を紹介するとともに、各地に点在する四つのフェニックス・モザイク(上記のほか皇居・桃華楽堂、1967年)まで視野を広げ、全体の中で本学作品の理解が深まるよう意図しています。
形あるものは劣化を免れませんが、全国5ヶ所のフェニックス・モザイクは全て何らかの形で保存、継承されています。

副町長らには展示をご覧いただくとともに、それぞれの現状、修繕などについて活発な情報交換が行われました。
なお、大多喜町の町立大多喜図書館天賞文庫は東京銀座で天賞堂を創業した大多喜出身の江澤金五郎の遺志により、郷里への奉仕、還元として1897(明治30)年に設立されました。本学顧問江澤雄一は金五郎の子孫です。この縁もあって歓談はいっそう和やかなものになりました。

西郡副町長はじめ町行政を担う方々のご来学で大多喜町とのご縁がいっそう深まりました。あらためて御礼申し上げます。