お知らせ
世界から愛される日本旅館ー澤の屋の澤 功氏が「おもてなしから始まる平和」について講義
2015/10/16
10/14(水)、現代経営学部の「マーケティング戦略」「マーケティング入門」(本庄加代子専任講師)の合同授業で、澤の屋旅館の館主の澤 功氏による講演が行われました。
澤の屋旅館は、東京の台東区谷中に建つ外国人向け家族旅館で、日本人利用者に加え、これまで89カ国・のべ17万人以上の外国人観光客が宿泊。
有名旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で殿堂入りするなど世界中の旅行者に愛されている宿です。
今年9月には現代経営学部の本庄ゼミと産学連携をさせていただき、外国人の方に書道を英語で教えるプロジェクトにご協力いただきました。
ご講演では、外国人受け入れに際しての戸惑いや、単語のみのカタコト英語や筆談を駆使したコミュニケーションでも「おもてなし」の心が十分伝わることや、無断キャンセル対策としてカード会社と連携したギャランティリザベーションシステム(キャンセルの場合も1泊分を支払う)をいち早く導入したことなど、30数年間に渡る試行錯誤のご経験をお話しいただきました。
澤氏(左)と本庄専任講師(右)
澤の屋旅館に宿泊する外国人観光客は、9割がツアーではなく個人旅行(FIT)スタイル。
時代の流れに伴い日本人の出張客や旅行者の利用減少につながった「和室」「風呂・トイレが共通」「小規模な家族旅館」という点を、逆に魅力だと感じて訪れる人が多いそうです。
そのため、プチギフトや荷物の運搬など日本人の考える“ホテルのサービス”よりも、それぞれの国や地域の文化・習慣を尊重し、いつ来ても家族が暖かく迎え入れるという澤の屋のホスピタリティを喜ぶ人が多く、リピーターや口コミでの人気につながっているのではないかということでした。
熱心に聞き入る学生たち
また、歴史ある寺町である“谷中”という立地を活かし、周辺の飲食店や施設等と協力し街ぐるみで受け入れ態勢を作ることで、小規模な旅館でも多彩な食事や外貨両替、観光スポットといった外国人観光客の要望に応えることができるといったお話も、大変興味深いものでした。
質問する石川信裕ー本庄ゼミ3年生
質疑応答では、英語力や文化差から来るトラブルの実例などについて熱心な質問が相次ぎ、どの質問にも丁寧にお答えいただきました。
ありのままの日本の生活や文化、街の様子が観光資源となり外国人との相互理解の場となることで、ひいては平和活動にもつながる、という話で結ばれた講演は、グローバル化する社会で働くための様々なヒントを得られる貴重な時間となりました。