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日本語と韓国語は似ている?似ていない?比較言語学の見地から学ぶ依田ゼミのゲスト講義

グロコミ

2023.07.07

6/28(水)、グローバル・コミュニケーション学部「言語学研究ゼミ」(依田悠介教授)が、南山大学の青柳宏教授をゲストに招聘。
日韓比較研究を例に、「言語と言語の比較」に関して学びを深めました。

依田ゼミでは、類型論や比較言語学とよばれる「日本語と他言語の比較」をメインテーマとして各ゼミ生が卒業論文・卒業研究に取り組んでいます。
今回は研究に対する考え方や注意すべき点などを第一線の研究者に学ぶべく、青柳氏を招聘。
日本語と系統的関係がある可能性が高いと言われる韓国語を例に、比較言語・比較文化の観点から講義をしていただきました。

青柳宏氏

青柳氏はまず、人類の移動を遺伝子レベルで調査する「Genographic」や、世界の言語類型に関する近年の研究を紹介。
日本人の来歴について、従来の「中国・朝鮮半島から人間が渡ってきた」という説から、「南半球側から人間が渡ってきて大陸へ向かった」(その流れの途中に日本があった)という説が主流になってきていることを解説しました。
また、言語類型の研究として、日本語と韓国語(朝鮮語)がユーラシア大陸に分布する「アルタイ諸語」とは異なる言語体系を持つ「孤立語」とされていること、日本語と韓国語とのつながりについては「関係があった可能性はあるがはっきりしない(現在の韓国語と直接つながっているかどうかは不明)」「系統的関係がある可能性は高いが、4000年以上遡る必要がある」という見解を述べました。

そのうえで、実際に日本語と韓国語を比較しながら、類似点について指摘。
使い方だけでなく発音が似ている助詞や接尾辞がある、ということ、動詞が「~(し)てみる」という変化(動詞の補助動詞化)を起こすことなど、英語との比較も交えながら解説。
言語の比較研究手順や、どのような点に着目するべきかをお話しいただきました。

受講した学生のコメント:
「青柳先生の授業は大変興味深く、自分は韓国語を少し履修していたので日本語と文法や言葉が似ていたのは知っているのですが、奥深くまでは知っておらず青柳先生の授業を受けその事が解決しとても気持ちが良かったです」(グローバル・コミュニケーション学部 蟹澤 歩さん)

授業の後には東学理論言語学コロキアム(世話人:依田悠介教授)にて、Notes on –te in V1-te V2 serial verb constructions in Japaneseのタイトルで一般向け研究発表をしていただきました
研究会では日本語の複合語に関する研究発表が行われ、参加者との活発な議論が行われました。

※本講演に関しては分散形態論の語彙挿入メカニズムの研究:日本語助数詞に注目して:研究代表者 依田悠介(22K00537)の後援を受けています。

依田教授のコメント:
「近年、さまざまな影響で韓国文化に興味を持つ学生が増えており、その入り口として韓国語を学ぶ学生が多くなっています。韓国への興味が高まっているところで、世間では“韓国語と日本語は似ている”や、“日本語と韓国語は関係する言語だ”という認識が広まっています。そのような時代において、韓国語と日本語の対照に関する研究を通して、日本語と韓国語への理解が深まる良い機会であったと思います」