Academic Life & Research
教育・研究
【公開講座】第7回「学歴と賃金格差:大学教育にこれから求められること」
2023.08.21
学問領域にとらわれない幅広い教養(リベラルアーツ)を学ぶ「公開講座」の第7回を8/5(土)に開催。
本郷キャンパスでの対面に加え、オンラインによるライブ配信も同時に行い、97名(対面22名、オンライン75名)の方にご参加いただきました。

本年度の最終回となる公開講座のテーマは、「学歴と賃金格差:大学教育にこれから求められること」。
本学の現代経営学部長 田中巌教授が講師を務め、経済学の視点から学歴間賃金格差について解説しました。

講師を務めた現代経営学部長 田中巌教授
田中教授は冒頭、学歴間賃金格差の背景について説明。
「学歴間賃金格差は、『教育年数が長くなるにつれて知識や技術の量が増え、それが生産性を高めることにつながり、収入が増加する』という考え方を背景に持つ。果たして、それを理論的に説明できるのだろうか?」との問いを投げかけました。

学歴間賃金格差の背景を解説
そして、まずは人的資本投資(教育への投資)の考え方に基づく回帰方程式「ミンサー型の賃金関数」について説明。
この方程式を用いた研究データも紹介いただき、高卒より大卒のほうが高所得になる可能性が高いことや、大学教育に投資することで将来的にプラスのリターンが見込める可能性が高いことを説明しました。

ミンサ―型の賃金関数についての説明
しかし、「所得への影響は、学歴だけでなくアビリティー(個人が持つ目に見えない能力)についても考慮する必要がある」と田中教授は続けます。
「アビリティーには、“生まれつきの能力”と“学校教育によって獲得できる能力”の2種類が存在するとのこと。そして、大学で獲得できる重要な能力の一つに『批判的思考力』がある」との解説がありました。

アビリティーと大学教育の関係性を説明
田中教授は最後に、本学の現代経営学部のカリキュラムや教育方針を紹介。
社会に出る上で重要なアビリティーである「批判的思考力」を伸ばす教育に力を入れていることを伝えました。
大学に進学し、質の高い教育を受けることの大切さを理解する一助となった今回の講演。
講演後は参加者から多くの質問が寄せられ、活発な質疑応答が行われました。

「批判的思考力」を伸ばす本学現代経営学部の教育方針を紹介
田中教授の講演後、東洋学園の愛知太郎理事長より、今年度の公開講座にご参加いただいた皆様への感謝を伝えるとともに、「2026年に100周年を迎える東洋学園は、社会と共に発展するオープンな大学を目指し、今後もさまざまな地域貢献活動に力を入れていく」と、その意気込みをお伝えしました。

愛知理事長
2023年度の公開講座はこれで全て終了。
ご参加いただき、ありがとうございました。