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アイヌ民族の歴史とアイヌ民族女性が直面する複合差別を学ぶ「文化人類学」ゲスト講義

グロコミ

2023.12.07

11/28(火)、1年次科目「文化人類学」(佐藤泉特任教授)に、アイヌ文化に関する第一人者であるNPO法人メノコモシモシ代表・多原良子氏をオンラインゲストとして招聘。
アイヌ民族の歴史、中でも複合差別の中にあるアイヌ民族の女性の現状とスローフードの取り組みについてお話を伺いました。

今回の授業では、大学と多原氏がいらっしゃる札幌とをオンラインでリアルタイムに繋ぎ、講演と質疑応答を実施。
多原氏は、一般社団法人「メノコモシモシ」代表として、日本国内はもちろん世界に向けてアイヌの文化や歴史を発信しているほか、女性差別撤廃条約に関連し、NYやジュネーブ国連本部に行き訴えるなど精力的に活動されています。
また、地産地消、安心安全、環境に負荷をかけないアイヌ民族の料理がスローフード協会から高く評価され、イタリアで開かれた大会、『テッラ・マードレ』ではアイヌ料理の紹介やワークショップに参加、民族舞踊も披露したそうです。
2019年には今度は札幌に27か国、150名、41民族を招き、先住民族の「テッラ・マードレ」を開催するなど、世界各地の先住民族との交流や文化紹介にも取り組まれています。

多原良子氏(昨年の講義時)

今回の講演では、続縄文時代から現在までのアイヌ民族の歴史・文化について様々な角度からお話しいただきました。
話題の中には、長年にわたる「和人」と「アイヌ民族」の確執や、アイヌ民族の墓が盗掘され、遺骨や遺品、血液標本などが未だに故郷に帰されないという心痛む話も。
特に、理不尽な境遇に置かれてきたアイヌ女性に対する複合差別については歴史的背景から現状の取り組みまでお話しいただきました。
地産地消、環境に負荷をかけないアイヌの伝統料理がスロー・フードとして改めて着目されていることも伺いました。
授業の最後には、学生たちが多原さんに直接質問したり、感想を述べたりする時間も設けられ、貴重な経験となりました。

「アイヌのリーダー(コタンコロクル)の資質として1. ラメトク(勇敢さ)2. シレトク(威厳)3. パエトク(雄弁さ)があると聞き、是非覚えておこうと思いました」(授業担当の佐藤泉教授)