Academic Life & Research
教育・研究
川口准教授が JSPS科研費でカンボジアにて調査を実施:戦争の影響と現在の平和を考える
2024.09.18
8月~9月、グローバル・コミュニケーション学部の川口智恵准教授が、日本学術振興会(JSPS)科研費(22K01377)の助成によるカンボジア調査を実施。
川口准教授からのレポートを紹介します。
昨年10月より、私はカンボジアに派遣された国連平和維持活動(PKO)、国連カンボジア暫定統治機構 (UNTAC)にかかわった人々への聞き取り調査を行っています。
今回の訪問は3度目となり、首都プノンペンだけでなく、地方都市のバッタンバンやタイ国境近くのオッドーミーチャイにも足を運びました。
内戦時には、カンボジア国内から多くの人々、子供からお年寄りまでがこの国境を越えて難民になりました。
今回の調査では、多くのカンボジア人女性や英語を話さないカンボジア人もUNTACの活動にかかわっていたことが分かりました。
1970年代のクメールルージュ政権下で多くの人々が強制収容され、拷問や殺害された「キリングフィールド」も訪れました。
パゴダ敷地内にある仏塔モニュメントに記された壁画は、悲惨な歴史を伝えています。カンボジアの若い人はこうしたモニュメントの存在を知らないことも多く、平和教育の重要性を再認識しました。
また、バッタンバンでは、現地の僧侶ムニ氏が運営しているローカルNGO Hope of ChildrenのカフェCafé HOCを訪れました。
Hope of Childrenは、家庭内暴力や貧しさから教育を受けられない子供を支援しています。日本人女性岩田亮子さんのプロジェクトであるカフェは活動資金を得、職業訓練をする場所になっています。
おしゃれなカフェには子供たちによる手書きのイラストメニューがあり、おいしい日本食やスムージーを楽しむことができました。
彼らの頑張りと希望に満ちた姿に心を打たれました。
今回の調査では、UNTACに参加されたカンボジア女性にもお会いすることができました。
内戦・復興を生き抜き、仕事や活動を続けてきた彼女たちの前向きな姿勢は、私の人生や研究に多くの示唆を与えてくれました。
カンボジアは過酷な内戦終了後の約30年間で大きな経済成長を遂げ、日本の援助による快適な国道、環境に配慮したサービス、おいしい食事、美しい文化や景色がある魅力的な国となっています。
また真の平和を心から求める国でもあります。今後川口ゼミでは、ゼミなどでカンボジアをテーマに様々な活動を行っていく予定です。
この調査は、JSPS科研費 22K01377の助成を受けたものです。(川口智恵)