Academic Life & Research
教育・研究
社会問題にビジネスの視点で切り込む。グラミン日本×石黒ゼミの産学連携最終発表会
2025.01.17
東洋学園大学では、都心の立地や大学の持つ様々なリソースを生かした「TOGAKU PBL」(PBL=課題解決型学習)を積極的に推進しています。
12/14(金)、現代経営学部「新事業開発ゼミ」(石黒順子准教授)と一般社団法人グラミン日本による産学連携プロジェクトの最終発表会を開催。
シングル家庭の支援、傷病離職者の就職・転職、ワーキングプアなど「相対的貧困」状況にある若年層といった社会問題に対して、AIやアプリといったテクノロジーを活用したビジネスアイデアを提案しました。

石黒ゼミでは、グラミン日本との産学連携による特別講義や文京区内のフィールドワークを通じて、社会における「相対的貧困」や労働者層の抱える様々な問題について研究しています。
今回の最終発表会では、全5チームが登壇。
それぞれ現場での気づきや学びを生かし、「就職活動時の悩みやハラスメント離職を防ぐための若年層向け情報共有アプリ」「シングルマザー向けの食材サブスクサービス」「ワーキングプアやブラック企業で悩む人々に向けた自己分析AIアプリ」「社会復帰を目指す人々向けの有償ボランティア企画」という新規ビジネスアイデアをプレゼンテーションしました。

ハラスメント離職に関する調査データを発表する学生

シングル家庭の「食」をサポートしつつ食品ロスなどの社会問題にも取り組む提案
報告会にはグラミン日本のほか、文京区を拠点に活動する社会福祉士、研究者や地域住民の方々まで、様々なゲストにご参加いただき、プレゼンテーション後に講評をいただきました。

グラミン日本理事長・CEOの百野公裕氏
「シングル親と多様な支援者とのマッチングアプリ」を提案したチームに対しては、「母子家庭に対する『マッチング』を、恋愛ではなく多面的な支援のツールとする発想が面白かった」というコメントが。

他にも、「着眼点やアプローチが非常に面白い」「実際にフィールドワークで見たことが反映されていると感じた」など、各チームのアイデアに対する肯定的な反応を多くいただきました。
さらに研究を深めるヒントとして、「発想を持続的にするためには、どうやって資金を集め、社会的な効用をPRして支援を集めるか大切」といったビジネス視点でのアドバイスも。
「近所に住んでいるが、学生がこのような活動をしていることを初めて知った。今後も頑張ってほしい」といった、地域住民の方からの激励もいただきました。
今回の産学連携プロジェクトにご協力いただいた方からのコメント
「アクションを進めていくことで、人の『困っている顔』が『喜んでいる顔』に変わることを間近に見ることになります。チームのアイデアを組み合わせることで、もっとたくさんの人を救えるようになるのでは」(グラミン日本 百野氏)
「社会的弱者は、表向き拒絶していても内面は社会とつながりたいという思いを持っている、という視点が(各チームのアイデアに)入っていた。自分のやりたいことではなく、相手に寄り添った視点で考えて下さったと感じました」(グラミン日本 髙橋歌織氏)
「貧困層の抱える問題を救えるのは、行政や民間ではなく、中間にあるNPOや有志団体。AIの活用含めて、居場所やチャンスを作るという発想が出てきたことは素晴らしい」(社会福祉士 渡辺光亮氏)