Academic Life & Research
教育・研究

創立100周年

創立100周年を迎える東洋学園の歴史を各地の学会・シンポジウムで報告

創立100周年

2026.03.06

2026年11月に創立100周年を迎える東洋学園の歴史について、東洋学園史料室の永藤欣久室長が各地の学会やシンポジウムにて報告。
昨年11月に行われた「第126回日本医史学会総会・学術大会」では、永藤室長が実行委員・シンポジストを務め、シンポジウムII「日本近代の女性医療従事者たち」で報告を行いました。

名称:第126回日本医史学会総会・学術大会「医療とジェンダーの歴史」
開催:2025年11/29(土)・30(日) 奈良女子大学

(1)シンポジウムⅡ「日本近代の女性医療従事者たち」(11/30)
司会:廣川和花(専修大学教授)
【報告】
山下麻衣(同志社大学教授)「近現代日本における公衆衛生に従事した看護職に関する歴史 ―海外留学経験者の活動と貢献―」
永藤欣久(東洋学園大学東洋学園史料室室長)「近代日本における女子歯科教育と女性歯科医師」
藤本大士(ハイデルベルク大学助教)「戦前日本における女性医師の海外での活動」

11/29に行われたシンポジウム(奈良女子大学S235教室)

本研究への参加は2019年(シンポジウム「ジェンダー史から考える女性医療従事者」(7/7:東京大学東洋文化研究所) – 比較ジェンダー史研究会)より、学会準備研究会は2023年12月からスタート、既報(東洋学園史料室の永藤室長が「医療とジェンダーの歴史研究会」第2回研究会・シンポジウムにて研究報告|東洋学園大学公式サイト)を含む4回の研究会と数次の打ち合わせを重ねました。
東洋学園史料室設置から20年、史料室は埋もれていた旧制期の自校史を発掘していく過程で「東洋学園は何のため、どのように生まれ、何をなしたか」を問い続けました。
これに鈴木則子奈良女子大学教授(現特任教授/126回大会長)が着目し、ジェンダー視点に基づく男性医師の歴史から両性の歴史へと読み替えを進める作業に歯科教育の分野を加えました。
その結果、女性歯科医師の養成を目的とした初期東洋学園にはより大きな社会的意義が与えられる可能性があります。
本大会はその契機として位置づけられると思います(東洋学園史料室:永藤)

(2)一般演題27(11/29)
保坂義雄・大野粛英・永藤欣久(演:保坂)
「東郷平八郎元帥の総義歯との邂逅と調査 ―現存二組の比較と作者及び当時の技術の考察」
2009年に入交直重旧制東洋女子歯科医学専門学校教授・付属医院長ご遺族より元帥の総義歯が寄託(後寄贈)され、2018年から保坂義雄氏(医師・東郷家)、大野粛英氏(歯科医師・神奈川県歯科医師会歯の博物館)、永藤、3名による研究会を構成(2018年1月31日|2017年度 1月 月報(アーカイブ)|東洋学園大学 史料室公式サイト)、日本歯科医史学会などで報告してきました。
今回は医師と元帥遺族の立場から保坂氏が報告を行いました。

右から保坂宗子氏(夫人、東郷元帥曽孫)、保坂義雄氏(柏たなか病院)、西巻明彦氏(日本歯科大学医の博物館)

当室蔵東郷平八郎元帥海軍大将の総義歯はグローバル・コミュニケーション学科「国際平和・協力ゼミ」(井上実佳教授)3年生による2025・26年度PBLとして本学の教育に活用されています。
[学生取材]井上ゼミ3年生によるPBL報告!「東郷平八郎の歯を追う!」三笠編|東洋学園大学公式サイト

(3)一般演題51(11/30)
川嶌眞人「東京医科歯科大学の開祖と東洋女子歯科医学専門学校」
川嶌眞人氏は旧制東洋女子歯科医学専門学校卒業生のご子息で2009年から本学と交流があり、東洋学園創立と密接にかかわる東京科学大学歯学部創設者の島峰徹(当時は文部省歯科医師試験附属病院長・文部省視学委員)と本学について報告しました。
川嶌氏は前野良沢、福沢諭吉らを輩出した地元大分県中津市を「蘭学の里・中津」として活性化する活動に長年取り組まれ、その一環として大江医家史料館の薬草栽培と中津の蘭学・医学史を学ぶ「マンダラゲの会」を主催しています。この名称は薬草マンダラゲ(チョウセンアサガオ)を主成分とする麻酔薬で世界初の全身麻酔手術を成功させた紀州の医師、華岡青洲に中津の医師大江雲沢が師事したことに因みます。

このほか、2025年度下半期には以下のような講演や学会に参加しました。

名称: 第42回マンダラゲの会 講演
第42回マンダラゲの会 「川嶌ミツエと東洋女子歯科医学専門学校」 永籐 欣久先生 – YouTube
開催:2025年10/18 大分県中津市
永藤欣久「川嶌ミツヱと東洋女子歯科医学専門学校」
11月末に予定する上記(1) 日本医史学会シンポジウムII報告を一般向きに改め、これに旧制東洋女子歯科医学専門学校が1926(大正15)年に文部大臣の指定を受け(公式創立年)、最初の入学生となった川嶌氏の故母堂川嶌(旧姓:別所)ミツヱの生涯を織り交ぜてお話ししました。

10/19(日)右から川嶌眞人氏、永藤室長。中津城天守では川嶌先生による中津の蘭学・医学史に関するパネル展を常設公開

名称:第53回日本歯科医史学会総会・学術大会
開催:2025年11/1(土) 九州歯科大学
一般演題2-5 永藤欣久「女子学生は歯科教育から「排除」されたのか」

11/1(土) 九州歯科大学301講義室

近代日本で女子歯科教育機関が誕生する契機となった明治期歯科医学校の旧制専門学校昇格(男子校化)当時の女子学生処遇に関する考察を報告しました。
本報告は事前抄録の段階で旧制東京歯科医学専門学校(現東京歯科大学)に関係する複数の講習所に混同があることを五十嵐康夫氏が指摘され、助言をいただきました。
当日はこれを踏まえ修正して報告、(1)日本医史学会シンポジウムIIにも反映しました。

両学会の大会が近接して開催された2025年秋、東洋学園史の解明と理解をより深めました。成果を進行中の東洋学園100年史執筆に反映します。(東洋学園史料室:永藤)