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「都市と観光」にまつわる問いを立て、リサーチし、分析発表する泰松ゼミ
2022.06.28
グローバル・コミュニケーション学科では、専門領域をより深く段階的に学ぶための取り組みとして、2年次から少人数ゼミを設置。今回は観光・都市政策がテーマの泰松ゼミに密着し、2年次ゼミと3年次ゼミでそれぞれどのような研究が行われているか、ゼミ活動のリアルな様子をお伝えします。
Topics 1
「情報収集」「分析」「発表」
6月某日、チャイムと共に2年次ゼミの教室に入ると、ゼミ生たちが一斉に鞄からパソコンを取り出す姿が。

全員がPC持参の2年次ゼミ
泰松ゼミの基本スタイルは、パソコンまたはタブレット端末を使いながらのグループワーク。この日は「シンガポールの4大ホテルを比較分析する」というテーマで、宿泊予約サイトで集めた口コミ情報をExcelに入力し、分析用のデータとして整形しているところでした。

Excelの入力内容について相談するゼミ生たち
「観光」と「都市政策」を主な研究テーマにしている泰松ゼミ。シンガポールはアジアの中でも海外人気が高く、近代的なホテルから現地の自然や文化を生かしたエコツーリズムまで、多種多様な観光資産を持つ国です。
学生たちは、リサーチのN数や対象とする口コミ投稿期間について意見を交わしながら、グループごとにデータを収集・整理。
今後は集めたデータをもとに、各ホテルの特性や現地の観光産業についての分析を進める予定です。
Topics 2
自らテーマを決めて掘り下げる
そんな泰松ゼミ、1年後となる3年生たちはどのような活動をしているのでしょうか。
2年次ゼミと同日に行われた3年次ゼミでは、プレゼンテーションを控えた学生たちが、真剣な表情で発表の準備をしていました。

各自がテーマを選んで研究している3年次ゼミ
この日のトップバッターは「訪日イギリス人観光客に対する観光強化策」を提案した、ゼミ長の高久加奈子さん。

発表する高久さん
訪日イギリス人観光客をターゲットに研究を進めている高久さんは、「イギリス人観光客の初回来日時に満足度が高かったアクティビティ」と、「次回の日本観光でやってみたいこと」のデータを収集・分析し、体験型の観光ツアーでリピーターを増やすという提案を行いました。
しかし、発表が終わったとたん、泰松教授から「(このスライドの作りは)なぜ?」という問いかけが。

高久さんのデータについて問う泰松教授
資料の見せ方、スライドのデザイン、データの選び方・分析の方法、提案内容のエビデンス…。
細かいポイントからリサーチ設計の大枠まで、各学生の発表が終わるたびに、周りのゼミ生を巻き込みながら「なぜ?」を突き詰めていく泰松教授。
そんな中、訪日韓国人観光客をターゲットにした提案を行った千月維真さんの発表から、「外国人観光客に対する情報発信は、現地の言語を使うべきか日本語のまま発信すべきか」というテーマが浮かび上がり、学生間での議論が始まりました。

千月維真さんの発表
「時間がかかっても現地のインフルエンサーに母国語で発信してもらうべき」「日本語でいいので、観光資源の当事者(店など)が発信することで情報の発信頻度を上げるべき」という2つの派が生まれ、各派が「なぜ?」を掘り下げながら意見を交換していきます。
さらに、様々な意見を参考にしながら、その場で自分の発表資料に補足を入れたり、その場で情報を検索して追加できそうなデータを探したりという学生も。
学生たち自身がテーマを決め、問いを見出し、掘り下げながら、各自の研究を深めていました。
Topics 3
泰松教授に聞く「問いの力」
泰松教授が、どうしてそこまで「なぜ?」にこだわるのか。
そこには、「問いの力」が社会において欠かせない資質である、という思いがありました。
「『なぜ』があれば、その理由を説明しなければなりません。そして説明をするためには、事実を積み上げなければなりません。自分の意見と他人の意見を混ぜない、意見と事実をまぜない、しっかり分けて考えて説明をする訓練が、誠実に物事を語ることができる社会人への近道です」(泰松教授)

3年のゼミ生に質問をする泰松教授(中央)
また、同学科で2年次からゼミを設置したのには、こんな理由が。
「2年次のゼミは、3・4年で行う本格的なゼミの準備なんです。ゼミとはどういうものか、必要なスキル、必要な視点、必要な作業を学ぶことで、3・4年で本格的に突き詰めていくことができます。そして、ゼミの学びの楽しさ、専門を突き詰める意欲がどんどん高まっていきます」(泰松教授)

データ分析を基礎から学ぶとともに、「問い」の力を磨く2年生
4年次のゼミでは、2年、3年と培ってきたデータのリサーチ・分析スキルと「問いの力」を生かし、各学生が独自の視点でユニークな卒業論文を執筆している泰松ゼミ。
同ゼミの卒業生が「問いの力」を語る動画も、ぜひご覧ください。
TOGAKU Future Story | 2020年卒 山崎紗代子さん