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Z世代に向けたTikTokマーケティングにチャレンジ!本庄ゼミ×スケーター(株)
2023.06.23
現代経営学部「マーケティング戦略・プロジェクトマネジメントゼミ」(本庄加代子教授)の産学連携プロジェクトは、実際に予算をかけてマーケティングを実践し、効果測定まで行う超実践型!2022年度は、有名キャラクターのライセンスを持ち、家庭用品や生活雑貨、アイデア商品などを展開するスケーター株式会社とコラボしました。ゼミ生たちは、デジタルネイティブ世代であることを活かして、有名企業でも本格的に取り組めていないTikTokマーケティングに挑戦。当初スケーター社と約束したKGI(目標設定)を達成しつつも、なかなかうまくやりきれなかった試行錯誤のプロジェクトの軌跡を振り返ります!
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企業課題に応じたTiktokマーケティングを提案し、予算を獲得!
本庄ゼミでは、実践型のマーケティングを、プロジェクトマネジメントスキルを使って行っています。
最近はSNSを活用した取り組みを積極化。昨年度は、第 6期生(現4年生)12名が、スケーター株式会社(代表取締役社長:鴻池総一郎氏 https://www.skater.co.jp)とコラボしました。スケーター社は、ディズニーやサンリオをはじめとする多数のキャラクターライセンスを持ち、お弁当箱などの家庭用品や生活雑貨、アイデア商品を展開する企業。同社に対して、新たなマーケティング戦略を企画・提案、そして実践することになりました。

スケーター(株)の展示会にて
プロジェクトがスタートしたのは2022年4月。
ゼミ生たちはまず、スケーター社の展示会を視察し、同社の強みや課題を分析することに。それを踏まえて具体的な企画案を考え始めました。当初はキャラクター開発や採用ブランディングなどの案も検討し、なかなか方向性が定まらずに苦戦したようです。大学が休みのゴールデンウィーク中も、自主的に集まってアイデアを出し合い、ゼミ長・副ゼミ長がリーダーとなって企画を練り上げていきました。

こうした苦労を経て生み出されたのが、大学生ならではの強みを活かしたTikTokマーケティング案。
自分たちが得意とするTikTokを駆使して、スケーター社がこれまで拾い切れていなかったZ世代にアプローチし、顧客層の拡大を目指す、という先進的な企画でした。
ゼミ生たちはTikTokマーケティングの企画案を煮詰め、6月初旬の第1回プレゼンでスケーター社に提案。すると高評価をいただき、まずは6月16日の「和菓子の日」に合わせてトライアル動画を投稿することになりました。

スケーター(株)林田取締役へのプレゼンの様子
第1回目の提案プレゼンの詳細はこちら
「和菓子の日」に合わせた動画は、スケーター社が販売する「練りきり型」を使ってゼミ生が和菓子作りにチャレンジするというもの。自分たちで絵コンテを書き、それに沿って撮影した動画をTikTokに投稿しました。

道具を使って手軽に和菓子が作れることを動画でアピール
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Tiktok動画の制作‐再生回数を上げる工夫を重ねる
第1回プレゼン後、ゼミ生たちは反省会を行い、次回のプレゼンに向けた改善点を話し合いました。また、プロジェクトの遂行には予算の獲得が不可欠…ということで、算出した必要経費を盛り込むなどして企画書をブラッシュアップ。6月下旬の第2回プレゼンで再提案しました。
第2回目の提案プレゼンの詳細はこちら

第2回目の提案プレゼンはオンラインで実施
プレゼンの結果、スケーター社から寄付をいただけることになり、ゼミ生たちは商品PR動画10本の制作を開始。
「どのような動画構成であれば、再生回数が伸びるのか?」をリサーチするため、さまざまな動画事例を視聴してヒントを分析し、動画の構成と編集に活かしていきました。また、撮影前には「どうしたらZ世代に興味を持ってもらえるか?」を意識して絵コンテを書き、入念に撮影計画を立てて本番に臨みました。

TikTok動画の編集作業
コンテンツにリアリティを持たせるために、なかには自主的に1泊2日のキャンプを企画し、動画撮影に取り組んだチームも。みんなでキャンプを楽しみつつ、スケーター社の中華鍋やアルミメスティンなどを「実際に使ってみる」動画の撮影を行いました。

ゼミ生が制作した絵コンテの一部(左)と、キャンプ場での動画撮影の様子(右)
このほか、米とぎシェーカーやベビーカステラメーカーといったキッチングッズのPR動画も撮影。編集作業も自分たちでこなし、順次TikTokに投稿していきました。
実際のTikTok動画はこちら

ゼミ生が企画・制作したTikTok動画の一例
さらに、投稿して終わりではなく、再生回数をチェックしてマーケティング効果の測定も実施。
近隣の文京学院大学の学生や本学の他学部の学生にも動画を視聴してもらい、視聴前後でのスケーター社に対するブランドイメージの変化についてなどを調査しました。

また、11月にはスケーター社の展示会にも出展。来場したビジネスパーソンに向けて、産学連携プロジェクトの主旨や効果測定の結果を説明し、一時は人だかりになるほどの大盛況となりました。
会場でTikTok動画を視聴したビジネスパーソンからは、以下のような感想をいただきました。
「単純に商品の説明をするだけでなく、リアルな使い方、さらには工夫した使い方を紹介するなど、疑似体験できるような動画コンテンツだった点がよかった。自分が実際に使うことを想像しながら視聴できました」
展示会出展の詳細はこちら

展示会でビジネスパーソンに説明するゼミ生
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試行錯誤の先に…:プロジェクトから得た組織管理の難しさ
約9ヶ月に及んだプロジェクトは、トータルで大成功といえる結果に。
再生回数の面では、企業と約束したKGIをクリア。動画投稿初期の成功基準としての経験則である200回再生を上回る成果となり、集計時点(11/25)での合計再生回数は8,792回にものぼりました。
また、Z世代を中心とする動画視聴者にアンケート調査を行ったところ、「早くよりTikTokを活用している先進性のある企業だと感じた」「大学教育に協力する社会性の高い企業だと思った」などの回答が得られ、企業のブランドイメージ向上に貢献できたことがスケーター社からも評価されました。

効果測定資料
こうした取り組み成果をまとめ上げ、12月にはスケーター社の東京営業所で成果報告会を実施。
報告を受けた社員の方々から、「TikTokという新しい取り組みにチャレンジしていただき、今後、社内で進めるうえで大きな参考になった」「これからの続編は?」などの声が挙がり、大好評を博しました。さらに、「TikTok動画の視聴やコメントから、商品のターゲットや商品改善についてまで触れていただき、今後のマーケティング戦略に多いに活用できる」など手ごたえのあるお言葉もいただきました。

成果報告会では完成度の高いプレゼンを披露
成果報告会の詳細はこちら
また、今回の産学連携プロジェクトに賛同し、協業を実現してくださった取締役・デジタルマーケティング部兼東京営業部部長の林田雅彦取締役からは、「本庄ゼミのみなさんが挑戦したTikTokを通して、消費者目線に立った商品PRを学ばせていただきました。これを生かして、今後もデジタルマーケティング施策に注力していきたいと思っています」というお言葉をいただきました。

本プロジェクトを全面的にサポートしていただいた林田取締役
同社の鴻池総一郎社長からは「このプロジェクトを通じて、マーケティング戦略だけではなく、リーダーシップの難しさや情報共有、スケジュール管理など、通常は社会人になってから覚える内容を大学時代に実践できたことは、学生の皆さんにとって有意義だったのではないでしょうか」というコメントをいただきました。

スケーター社の鴻池社長(右)とリーダーシップの在り方について話すゼミ長の藤本さん(左)
プロジェクトを終えたゼミ生たちは、達成感を得られた一方で、「もっとできたのではないか」と自問自答していた様子。社会人さながらのビジネスの苦労と、達成した喜びを語りました。
「成果報告会では、スケーター社の皆様に『入社2~3年目の社会人と遜色がないプレゼンだった』『このプレゼンをSNSマーケティングに活かして行きたい』とおっしゃっていただき、達成感を得ることができました。やりきった実感と共に、反省すべきことも山のようにあると感じています。それでも、みんなで切磋琢磨しながら活動することができました。自分自身は、組織を取りまとめるために、『ビジョン(ゴール目標)や行動指針』の重要性を学びました。自分自身で自ら設定し、みんなに共有することで、チームの求心力が高まったように思います。このような貴重な成長の機会をいただけたことに、ゼミ生一同、感謝しています」(ゼミ長・藤本優作さん)
「やる気はあるのに、効率的に納得するまでのレベルに到達できず、それが悔しかったです」(副ゼミ長・渚紫音さん)
「想定通りにいかなかったことがほとんどで、途中で組織体制も大幅に見直したりと、常にどうすればうまくいくのかという改善を考え続けました。無事にやり遂げられてよかったです」(副ゼミ長・保々咲桜さん)
これまで学んできたマーケティング理論を、実践へと生かす難しさを実感したゼミ生たちでした。

副ゼミの長渚さん(左)、保々さん(右)と本庄教授(中央)
最後に、本庄加代子教授の総括をご紹介します。
「プロジェクトマネジメントという視点では、リーダーシップというのが非常に大きな学びだったと思います。どういう形で組織をまとめていけばいいのか、どういうモチベーションでみんなの気持ちを上げていけばいいのかなど、会社さながらの経験ができたことが非常に貴重でした。ゼミ生たちがうまく議論をしながら戦略的に取りまとめ、世の中にぶつけた経験は、今後の人生において大きな自信の糧になるはずです」

本庄教授

スケーター(株)社員の皆さまと本庄ゼミ