Academic Life & Research
教育・研究
家事事件や少年事件の裁判を支える公務員とは?「地域ではたらく」ゲスト講義
2022.07.21
人間科学部の科目「地域ではたらく」(宮園久栄教授)では、地域を支える様々な職業の方をゲスト講師に招き、地域社会における課題や取り組みについて学んでいます。
6/16(木)は、釧路家庭裁判所帯広支部家庭裁判所調査官の佐々宗太郎氏にオンライン講義で、家庭裁判所調査官の仕事内容や、社会との関わりについてお話しいただきました。

家庭裁判所調査官は、家庭裁判所で取り扱う離婚や子どもの養育などの家事事件や、非行を犯した少年の処分を決定する少年事件などについて調査を行い、その内容を裁判官へ報告することで、適切な裁判の進行をサポートする国家公務員です。
佐々氏はまず、家庭裁判所調査官を「未来志向」の仕事と紹介。
家事事件における紛争当事者や、親の争いのさなかに置かれる子どもの将来のために、行動科学の知見を生かして事実収集、分析評価、働きかけを行っていくことをお話いただきました。

少年事件についても、少年たちの今後の最善を考えてアプローチすると解説。
「どうして非行を犯したのか」という動機や背景を探り、少年一人ひとりと向き合いながら、更生や再犯防止の方策を検討し、裁判官へ報告するとご説明いただきました。
また、家庭裁判所調査官が関わるのは、裁判中の人やその家族、非行をした少年にとって一瞬であり、その後生活していく地域社会こそが人生を左右する重要な環境であると話し、地域社会との連携や協働が不可欠であることを強調しました。
講義後、学生からの質疑応答で「新型コロナウイルスの蔓延や法改正などによる仕事の変化はどのようなものがあるか」という質問に、「現場では、IT化が加速している。また、成年年齢引き下げや少年法改正について、試行錯誤しながらも情報を集め対応している」と回答していただきました。

積極的に質問する学生
家庭裁判所調査官は、地域社会と協力しながら、家庭問題の解決や少年更生など当事者たちの未来のために力を注ぐ仕事であることを学びました。