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児童福祉施設で働く先輩に「社会的養護」の現場について聞く!「福祉心理学」ゲスト講義

人間科学

2023.07.20

7/10(月)、 人間科学部の「福祉心理学」(塩谷隼平教授)で、児童福祉施設で働く卒業生らを招いたオンライン特別講義を実施。
事前収録のため、7/4(火)にNPO 法人チャイボラ代表理事の大山遥氏と、本学の卒業生で「こどものうち八栄寮」に勤める児童指導員の波多野俊太氏を招き、社会的養護に関する最新の動向や児童養護施設の現場についてのお話を伺いました。

事前収録では、塩谷教授による紹介に続いて、大山氏に「社会的養護」に関する最新の動向に関して解説いただきました。

塩谷教授(手前)とゲストのおふたり

大山氏は、社会的養護に関する総合情報サイト「チャボナビ」の運営を手掛けるNPO法人で代表を務めながら、児童養護施設のスタッフとして社会的養護の第一線で活躍されています。

クイズを交えながら「社会的養護」について解説する大山氏

映像を交えながら、社会的養護の最新動向や児童養護施設、母子支援施設といった現場の様子をご紹介いただきました。

次に登壇したのは、本学を2020年に卒業し、児童指導員として活躍する波多野氏。
在学中からボランティアで関わっていた児童養護施設「こどものうち八栄寮」に就職し、今年で3年目を迎える先輩から、児童養護施設の日常生活や行事、 子どもたちとの関わり方など、児童指導員の仕事について詳しくお話いただきました。

後輩に対して、施設見学やインターンシップについて案内する波多野氏

講義後には、事前に履修学生から寄せられた質問を塩谷教授が代理で読み上げる形での質疑応答が。
「働く前と後とのギャップは?」という質問に対しては、大山さんから「ドラマや映画、一部を切り取ったドキュメンタリー等の情報で想像していた施設や働き方」と現実の違いについての話が。
「勝手に抱いていたイメージと異なり、今の施設は本当に綺麗で、職員の働き方改革もどんどん進み、待遇も変わってきている」と、実際の現場を知ることで、かなりの衝撃を受けたそうです。
一方、就職前に同じ施設でボランティアとして活動していた波多野さんからは、ボランティア時代には守秘義務で知ることができなかった子どもたちの過去や背景を入職後に知り、衝撃を受けたというお話が。

また、「児童指導員にはどんな人が向いているか」という質問には、それぞれのご経験から「代替養育者であることを自覚し、子どもの親御さんへのリスペクトとプロとしての心構え、適切な距離感、客観的な立場の感覚を持てる人」(大山さん)、「全力で子どもたちと遊べる人」(波多野さん)という答えがありました。

「ストレス解消法」についての質問で、塩谷教授の鋭い指摘に苦笑いする波多野氏

授業を締めくくったのは、「(児童)虐待はなくなりますか?」という質問。
学生からの深い質問に悩みつつ、波多野氏は「無くなることを祈りながら仕事をしている」と回答。
大山氏からは、地域との連携や施設の多機能化・高機能化で母子支援に力を入れる施設が増えていることを上げ、「施設を『しんどいからちょっと相談してみよう』という存在にすることで、虐待を未然に防ごうとしている」という業界全体の取り組みについてお話しいただきました。

授業を受けた学生からは、「児童養護施設の1日を聞いて想像以上に一般的な家庭と同じような環境にあることに驚きました」、「(映像を通じて)綺麗な施設、優しそうな職員さん、そして何よりも笑顔で生活している子どもたちを見て、自分の知識は偏っていたのだと痛感しました」など、「社会的養護」と児童福祉施設をはじめとする地域の支援に対して抱いていた(主にネガティブな)イメージが変わった、自分の偏見に気づいた、という声が。

「自分の住んでいる地域の児童養護施設や支援などはどうなっているのかと気になり、(中略)今の自分に少しでもできることはないかなと考えるきっかけになった」、「子どもが好きという理由だけで関わってよい仕事なのかと躊躇していたのですが、職員の方の話を聞いて、すごくやりがいがあって大変だけれど楽しそうなお仕事だなと興味をもちました」など、将来の進路について参考になったという声も多数寄せられました。