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中国のパンダ外交と日中関係の未来における役割とは。特別講座「未来は共に創る」第10回

地域間連携

2023.11.29

本学では、一般社団法人ユーラシア財団from Asia助成による特別講座を開講しています。
今年は「未来は共に創る――アジア共同体の新しい地平線」という全体テーマのもと、アジアの諸問題に関する専門家や有識者を講師として招へい。
11/23(木)に開催された第10回は、講師として東京女子大学教授の家永真幸氏にご登壇いただきました。

今回の講義テーマは「シャンシャンはなぜ『帰国』したのか――中国のパンダ外交」。
中国の文化的側面に着目しながら国際政治について研究する家永氏が、パンダ外交における中国の戦略や、中国の外交史についてお話いただきました。

家永氏

講義冒頭、「パンダはどこの動物か、古来から中国の動物か」と投げかけ、「熊の一種が竹笹を主食とするものに進化し、チベット高原周縁の高山地帯にだけ棲息する」と解説した家永氏。
パンダがいつ「中国のシンボル」となり、「パンダ外交」の役割を担うことになったのか、パンダを用いた外交政策が1930-40年代の中華民国から始まり、中華人民共和国へ継承された歴史的経緯を解説しました。

その後、家永氏はパンダの愛らしさが国際的に認められ、たびたび政治・外交問題に巻き込まれてきたことにも言及。
中国から世界各国へ貸し出されたジャイアントパンダの年表を追いながら、「パンダ外交は動物研究・生物多様性のための協力や人的交流にも寄与してきた」と述べました。

年表でパンダ外交と中国史の流れを確認

最後に家永氏は、「パンダ誘致のための交渉は、政治的協力のきっかけとなりやすく、中国との関係がこじれている国こそ関係改善の糸口となり得る」「政治的な役割にパンダを利用してきた以上、“友好の使者パンダ”のポジティブな役割を、未来を良くする方向に生かしていくことが、人間のエゴに巻き込んでしまった我々に求められていることではないか」と述べ、講義を終えました。

質疑応答では、「なぜ他の動物は返還されないのに、パンダは返還があるのか?」「パンダが貸し出されるまでの交渉の流れは?」といった質問が多数あがり、家永氏から丁寧な回答をいただきました。

同講座は本学学生が履修するほか、一般の方も受講可能な公開講座として開講されています。
各回の講師・テーマ、聴講のお申し込み方法は以下ページよりご確認いただけます。

一般財団法人ユーラシア財団 from Asia 助成 特別講座
https://www.tyg.jp/koukaikouza/oneasia/index.html