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教育・研究
日本人ドキュメンタリー監督が見た中国の10年。特別講座「未曽有の大変局のなかでアジア共同体の未来を語る」第5回
2024.11.09
本学では、一般財団法人ユーラシア財団from Asia助成による特別講座を開講しています。
今年は「未曽有の大変局のなかでアジア共同体の未来を語る」という全体テーマのもと、アジアの諸問題に関する専門家や有識者を講師として招へい。
全15回のオムニバス形式で講義を行います。
10/17(木)に開催された第5回は、講師としてドキュメンタリー映画監督の竹内亮氏にご登壇いただきました。

今回の講義テーマは「中国撮影10年で見た現地社会の変化」。
長年にわたりNHKやテレビ東京でドキュメンタリー番組のディレクターを務め、中国で影響力のある日本人として数々の賞に輝いている竹内氏に、中国に移住し、撮影を続ける中で見た中国の変化と日本に伝わらない今の中国についてお話しいただきました。
講義冒頭、竹内氏は中国人女性との結婚をお相手のご家族に反対されたり、中国移住を周りから反対されたりしながらも、2013年に実際に中国に渡り住むまでの経緯について言及。
さらに、日中関係の悪化の中、中国テレビ局に自身が制作した映像を持ち込んでも取り合ってもらえないなどの「反対」に遭いながらも、中国の動画配信に活路を見出し、その活動が中国国内で評価されていった過程を語りました。

竹内氏
続いて、2020年のロックダウン後の武漢を訪れた『お久しぶりです、武漢』や、今年日本と中国で映画となって上映され話題となった『再会長江』など、自身が手掛けた動画コンテンツを映しながら中国での活動について解説。
竹内氏がディレクターを務め、中国に移住を決意するきっかけとなった『NHK 長江 天と地の大紀行』から約10年後、中国社会の変化を映像化した作品『映画版 再会長江』を制作し日本で映画館上映したのは、「今の中国を知って欲しかったから」と語りました。

さらに、活動の中で感じた日中の違いについて説明し、日中それぞれの報道における問題点を「大手メディアが伝えない中国を伝えたい」という思いとともに指摘した竹内氏。
最後に、「かつてのように日中が親密な感情を抱いていた時代が戻ってくることを願っている」として、講義を終えました。
講義中には質疑応答の時間が設けられ、参加者からは中国生活10年間に関する素朴な疑問から「日本人と中国人の違いは?」といった話まで多岐にわたる質問が。
「(日本人と中国人の違いは)距離感の違い」など、講師自身のエピソードを交えながら丁寧に回答をいただきました。
同講座は本学学生が履修するほか、一般の方も受講可能な公開講座として開講されています。
各回の講師・テーマ、聴講のお申し込み方法は以下ページよりご確認いただけます。
一般財団法人ユーラシア財団 from Asia 助成 特別講座
https://www.tyg.jp/koukaikouza/oneasia/index.html