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「新・新華僑」の出現で多様化する日本の中国人社会を考える。特別講座「未曽有の大変局のなかでアジア共同体の未来を語る」第8回

地域間連携

2024.11.28

本学では、一般財団法人ユーラシア財団from Asia助成による特別講座を開講しています。
今年は「未曽有の大変局のなかでアジア共同体の未来を語る」という全体テーマのもと、アジアの諸問題に関する専門家や有識者を講師として招へい。
全15回のオムニバス形式で講義を行います。

11/7(木)に開催された第8回は、講師としてフリージャーナリストの中島恵氏にご登壇いただきました。

今回の講義テーマは「多様化する日本の中国人社会」。
北京・香港留学・新聞記者を経て、ジャーナリストとして30年以上の実績を持つ中島氏は、1,000人以上の中国人へのヒアリングを通して中国社会事情に精通し、中国に関する多くの著書を執筆。
今講義ではその中から『日本のなかの中国』『日本の中国人社会』の2つの著書の内容を交えながらお話しいただきました。

中島氏

講義前半は、日本における在日中国人の人口、年齢、取得在留資格、居住地などのデータを通して概要を紹介し、在日中国人の来日など、特に1980年代以降の歴史について言及。

さらに、中国人が数多く住む代表的な3つの街について、紹介しました。
人口60万6000人のうち2万4000人の中国人が住む「川口市」。
80年代より前に来日した「老華僑」と以降に来日した「新華僑」の対立も見られる中華街を抱える「横浜市」。
日本人学校、専門学校が多く、多数の留学生が通う早稲田大学のお膝元「高田馬場」。
3つの街について、それぞれ取材から見える各地の特徴やエピソードを詳しく語りました。

講義後半、2010年代半ばから中国のSNSは爆発的に発展し、在日中国人のネットワークも広げる結果となり、日本における「中国人」だけの経済圏が確立することとなったと語った中島氏。
さらに、中島氏が「新・新華僑」と呼ぶ中国人富裕層がなぜ「日本」への脱出を図るのかについて語り、多様化する日本の中国人社会の現状を考察しました。
「中国社会を理解することは難しいが、まずは日本の中国人社会を知ることから始め、鏡のような存在の彼らを通して日本人を客観的に見る良い機会になるのではないか」「この講義が身近な中国人について考える機会になったら嬉しい」として、講義を終えました。

講義終了後には質疑応答の時間が設けられ、「日本へだけでなくアメリカへの違法移民として逃げる人がいることについてどう思うか」「中国と日本の共に高齢化で変化する、日本の対中国ビジネスと中国の国内ビジネスについてどう考えるか」といった質問に対し、丁寧な回答をいただきました。

同講座は本学学生が履修するほか、一般の方も受講可能な公開講座として開講されています。
各回の講師・テーマ、聴講のお申し込み方法は以下ページよりご確認いただけます。

一般財団法人ユーラシア財団 from Asia 助成 特別講座
https://www.tyg.jp/koukaikouza/oneasia/index.html