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【公開講座】第1回「令和の子どもたちと不登校」

地域間連携,教養教育

2025.05.30

幅広い教養(リベラルアーツ)を学ぶ今年の「公開講座」は「『問いただす、今の教育。つなぎ直す、未来の社会。』―初等・中等・高等教育を越えて考える、子どもと社会のこれから―」をテーマに、全6回の講座を開催します。

2025年度も、多くの方々に生涯学習の機会を提供するため、都心の本郷キャンパスでの対面に加え、オンラインによるライブ配信も同時開催予定です。
第1回は5/17(土)に開催し、71名(対面14名、オンライン57名)の方にご参加いただきました。

辻中豊学長からの挨拶

今年度の初回ということで、まずは辻中豊学長よりご挨拶をさせていただき、その後本学人間科学部の中村洸太専任講師が講師として登壇しました。

中村洸太専任講師

今回の第1回と、次回の第2回(5/31開催)は「初等教育の現場から―『安心』『不安』『はじまり』をキーワードに、子どもの土台を見つめなおす。」がテーマ。
臨床心理士・公認心理師・精神保健福祉士の資格を持ち、スクールカウンセラーとして子どもたちと関わった経験のある中村専任講師は、「令和の子どもたちと不登校」と題し、これまでとは異なる様相を示す「令和の不登校」について、講演を行いました。

講演では、まず不登校の現状として、少子化にもかかわらず不登校児童・生徒数は年々増加し過去最大を更新していること、また2012年度と2022年度の比較では小学生で5倍強、中学生では約2倍の出現率であると提示。

続いて、昭和・平成の各時代における不登校への認識と対応の変遷を、令和の不登校を理解する上で不可欠な視点として説明しました。
中村講師はさらに、不登校が増加傾向にあり減少した時期はないことから、「今後30人強の学級において、小学校では1人、中学校では3人程度が不登校となる」との予測を提示。
社会背景により不登校がどの子にも起こりうることや、不登校となる原因がない場合が多くなっていることなど、令和の特徴的な不登校について解説しました。

講義後半は、令和の不登校状態にある子どもたち、保護者、学校それぞれの状況に応じた関わり方について言及。
現代の不登校の背景を理解する必要性を述べ、「安心安全の土台」を築いた上で現実検討や挑戦に進むという順番が大切であると強調しました。

講演を熱心に聞き入り、メモを取る様子も

最後に、「外部の専門家や組織に頼ることも有効な手段である」として、不登校を支える機関を例示しながら、現在の不登校を取り巻く支援環境について解説し、講演を終えました。

講演後は、「精神疾患の後発時期である中高生期における学校での啓蒙活動の不足について」、「スクールカウンセラーの力量について」など多くの質問が寄せられ、質問のひとつひとつに丁寧に回答。
参加者の皆様の問題意識の高さが伺えました。

次回の公開講座は5/31(土)に開催。
「DoReMi(どれみ)」から始まる子育て♪―子どもの安心の土台を作るために―」をテーマに、認定特定非営利活動法人チャイルド・リソース・センター代表理事の宮口智恵氏にご講演いただきます。
対面・オンライン併催、要事前申込み(無料)。ぜひご参加ください。

公開講座の参加方法や最新情報、参加のお申し込みはこちら
https://www.tyg.jp/koukaikouza/k-kouza/index.html