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「ビジネスと人権」とILOを考える。第3回グローバル・スタディーズセミナー報告

PBL,大学間連携,産官学連携,グロコミ

2025.12.04

東洋学園大学では、都心の立地や大学の持つ様々なリソースを生かした「TOGAKU PBL」(PBL=課題解決型学習)を積極的に推進しています。

10/3(金)、本学1304教室でグローバル・コミュニケーション学部主催「第3回グローバル・スタディーズセミナー(GSS)」を開催しました。

今回は北海道文教大学との共同開催で、北海道の会場と本学をオンラインでつないで実施。
学生にも開放され、教職員とともに多くの有志学生が参加しました。

今回のテーマは「『ビジネスと人権』とILOの役割」。
厚生労働省国際参与(ILO結社の自由委員会委員)も務められている日本ILO協議会事務理事の伊澤章氏にご登壇いただきました。

国際労働機関(ILO)の成り立ちや活動、そして近年世界的に注目されている「ビジネスと人権」の考え方について、具体的な国際動向や日本の現状を交えながら講演いただきました。

伊澤氏

講演の冒頭では、1919年に設立されたILOの特徴や目的について説明がありました。
ILOとは、すべての人が働きがいのある人間らしい仕事を得られる社会をめざして活動する国際機関であり、国際機関の中で唯一、政府・労働者・使用者の三者が対等に協議する仕組みで知られています。
伊澤氏は、ILOが掲げる「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の理念がSDGs(持続可能な開発目標)の目標8「働きがいも経済成長も」に引き継がれていることを紹介しました。

続いて、「ビジネスと人権」の考え方が世界的潮流となっていることが示されました。
企業活動における人権尊重の重要性が強調され、欧米諸国ではすでに企業に人権配慮を義務化する国内法やガイドラインが次々と制定され、日本でも2020年に「ビジネスと人権に関する行動計画(NAP)」を始め、企業における人権尊重のためのガイドラインが策定されたことなどが紹介されました。

また、講演では移民労働者や技能実習制度をめぐる国際的な課題にも触れ、ILOや国連が指摘する強制労働や人身取引の問題が取り上げられました。
伊澤氏は、サプライチェーンの各段階で生じうる人権侵害の実態を挙げながら、「企業も消費者も、国際的な人権基準を意識することが求められています」と強調しました。

参加した各大学の学生からは活発な質問も寄せられ、国際社会における「働くこと」と「人権」の関係について理解を深める機会となりました。