Academic Life & Research
教育・研究
アニメ業界のグローバル展開と制作の裏側を人気プロデューサーに学ぶ特別講義
2026.09.10
7/15(水)、グローバル・コミュニケーション学部の「ビジネスとコミュニケーション」(松井英光教授)にて、昨年に続き特別ゲスト講師として株式会社AT-X代表取締役の東不可止(あずまふかし)氏を招聘し、アニメ業界の現状とグローバル展開の課題、プロデューサーの役割などについて講義をしていただきました。

株式会社AT-X代表取締役 東不可止(あずまふかし)氏
東氏はテレビ東京で長年アニメ制作に携わり、『銀魂』や『NARUTO-ナルト- 疾風伝』など数多くの人気作品をプロデュース。現在はアニメ専門チャンネルを運営する(株)AT-Xの代表として、業界の最前線で活躍されています。東氏と松井教授は中学・高校時代の同級生であり、旧知の間柄ならではの軽妙な掛け合いも交えながら、講義は和やかに進みました。

中学・高校時代の同級生である東氏と松井教授
講義ではまず、アニメ産業の「今」について解説いただきました。市場規模は2024年に3兆8千億円を超え、半導体産業に匹敵するほどに拡大していること。近年は国内よりも海外のビジネスが大きくなり、大きな利益を得るには世界市場を見据えることが不可欠になっていること。配信プラットフォームの普及により、日本での配信とほぼ同時に各国語の吹き替え版が世界へ届けられ、ヒットが同時多発的に生まれる時代になったことなどを、具体的なデータとともに説明されました。ロサンゼルスで開催されたアニメの祭典に42万人が来場した事例なども紹介され、学生たちは日本のアニメが持つ影響力の大きさを実感していました。

海外市場の拡大について解説する東氏
一方で、業界が抱える課題についても率直にお話しいただきました。1本あたり数千万円にのぼる制作費の高騰、制作スタジオへ利益が十分に還元されにくい構造、アニメーターの労働環境など、華やかな成功の裏にある現実的な問題にも踏み込んで解説。さらに、海外展開にあたって宗教的・文化的な表現に細心の注意を払う必要があることや、AIによる吹き替え・作画をめぐって権利や仕事のあり方が問われている現状など、まさに変化の渦中にあるテーマにも言及され、学生たちは業界の光と影の両面を学ぶことができました。

人気アニメの制作秘話に聞き入る学生たち
質疑応答では、海外での違法配信サイトへの対応や、声優が交代する際のキャスティングの考え方など、学生から次々と熱心な質問が寄せられました。東氏は「違法サイトを潰すには、それより早く、より高品質なものを正規ルートで届けるしかない」といった実務に基づく戦略を紹介。会場は大いに盛り上がりました。
最後に東氏は、これからの時代の仕事とAIとの向き合い方についても言及。「AIはどんどん使った方がいい。ただし、そのまま使ってはいけない。一度自分の中で理解し、『これを言っているのは自分だ』と言えるところまで咀嚼して使うことが大切」と、社会に出る学生たちへ実践的なアドバイスを送りました。「たくさんの人と仕事をし、新しいチャレンジを繰り返す中で、やりたいことが見つかっていく」という言葉に、学生たちは真剣に耳を傾けていました。
松井教授は「昨年に続いて、日本を代表するプロデューサーである東さんに、アニメ業界の現状と課題を包み隠さずお話しいただきました。刻々と変化する業界のリアルな最前線に触れることは、学生たちにとって非常に貴重な学びの機会になったと思います」とコメントしています。