Academic Life & Research
教育・研究
【第4回公開講座】究極のコミュニケーションとは?社交ダンスが教える言葉を超えた「つながる力」
2026.09.14
東洋学園大学では、最先端の研究を地域社会に還元するために、学問領域にとらわれない幅広い教養(リベラルアーツ)を学ぶ「公開講座」を開催しています。
2026年度(全6回)も、多くの方々に生涯学習の機会を提供するため、都心の本郷キャンパスでの対面に加え、オンラインによるライブ配信も同時開催しています。
第4回は7/11(土)に開催し、70名(対面25名、オンライン45名)の方にご参加いただきました。

大西咲菜氏
今回は、本学卒業生(2024年3月卒)であり、公益社団法人日本ダンススポーツ連盟JDSF強化選手/日本代表の大西咲菜氏を講師として招聘。
「踊ることで、人とつながってきた——3歳からの社交ダンスが教えてくれたこと」と題し、お話を伺いました。
講義冒頭、大西氏は自身の経歴を紹介。
ご両親の影響で、兄である大西大晶氏とともに3歳から社交ダンスを始めたこと、小学校時代のロシア留学、コロナ禍での本学入学、そして競技ダンスと並行してダンスインストラクターとして活動する現状について説明しました。

続いて、実際の競技動画を交えながら「スタンダード」や「ラテン」といった社交ダンスの種類を解説し、いよいよ「コミュニケーション」の話題へ。
参加者に「コミュニケーションと聞いて、何を思い浮かべるか」と投げかけました。
大西氏は「会話」や「挨拶」などのコミュニケーション手段があるなか、「社交ダンスは言葉を使わない会話であり、踊りながら私たちは常に会話をしている」と述べ、社交ダンスこそが「究極のコミュニケーション」ではないかとの見解を示しました。
次に社交ダンスにおける「リード&フォロー」の概念を紹介。
リードは「提案」、フォローは「受け取る」ことを意味し、社交ダンスにおいて男性のリードは命令ではなく提案で、女性はその提案を受け取って瞬時に動く、つまり踊りながらお互いに心を伝えあい、コミュニケーションを取り合う「対話」なのだそうです。
そこから、「リード」「フォロー」の感覚を体験するため、二人一組となり、「リード」側が手拍子したリズムを「フォロー」側が受け取って同じように動く、というワークを実施。
言葉を使わずとも相手に合わせ、心を通じ合わせる感覚を参加者全員で体感しました。
続いて、「右手と左手で異なる動きをする」という動作にも挑戦し、頭と体を同時に動かすことの難しさと刺激を実感しました。


講義中盤では、「社交ダンスが教えてくれたこと」として、3つの視点を提示。
第一に「相手を感じること」、第二に「完璧に伝わらなくてもいい」、第三に「違いがあるからこそ面白い」という点です。
大西氏は「身長や性格、文化が異なる者同士が、ダンスを通じて人間本来の感覚を共有し、つながることができると学んだ」と語りました。
講義後半には、社交ダンスの本質は「感じる」「受け取る」「応答する」という力にあると解説。
大西氏は「ダンスは世界共通言語ではなく、人間本来の感覚が共通している」と述べ、リズムや温度を通じた「生まれながらのつながる力」の重要性を説きました。
大西氏自身が、3歳からダンス経験を通じて、「人を尊敬したり、繋がったり、一緒に成長するということを学んできた」との振り返りも。

結びとして、大西氏は将来の目標である「社交ダンス学校の設立・育成」を掲げました。
ダンスを通じて豊かな人間力を育む場所を作りたいという熱い想いや、世界大会でのファイナル進出、ダンススポーツのオリンピック競技化という大きな夢を提示。
ダンスという手段を通じて、「人とつながる力」について考える貴重な機会となりました。
講演後は、会場、オンラインから「相手を感じながら踊るためのアドバイスは?」「上達のために幼少期にやっておくと良い習い事は?」といった熱心な質問が寄せられました。
「日本と海外の観客の違いは?」との問いには、「海外では社交ダンスを『観る』文化があり、拍手や声援の大きさで観客の反応がすぐにわかる。日本でもぜひ大きな声援を送ってほしい」と述べるなど、参加者からの質問に丁寧にご回答いただきました。