Academic Life & Research
教育・研究
地域を支えるNPOの活動を学ぶ「地域ではたらく」ゲスト講義(ピアサポートネットしぶや石川氏)
2020.07.28
7/7(火)、人間科学部科目「地域ではたらく」(宮園久栄教授)にて、NPO法人ピアサポートネットしぶやの石川隆博氏をリモート講義のゲストに招聘。
地域の人々の声を拾い、支援の輪を広げるNPO法人の活動について学びました。

渋谷区を中心に若者の自立支援や子育て世代のサポートなどを行うNPO法人ピアサポートネットしぶや

ピアサポートネットしぶや 統括リーダーの石川氏Microsoft Teamsの会議機能を利用し、恵比寿にある事務所からリモートで講義
まずは石川氏から、同法人が活動する「渋谷区」という地域の特性についてお話しいただき、渋谷区の基本構想や予算、住民に関するデータを見ることで、実際にその地域で暮らしている人々の世代や暮らし方がわかることを学びました。
石川氏と一緒にデータを見る中で、実は高齢者の人口が意外に多いこと、婚姻率が高いにも関わらず転出入が多く、家の平均面積が狭いなど、子育て世代にとっては住環境の課題など多くの気づきが。
データを見る前は「若者の街」「再開発していて高層ビルが多い」などを渋谷のイメージとして挙げていた学生たちですが、授業が進む中で、驚きとともに渋谷という「まち」の姿を捉え直していたようです。

渋谷区の政策や予算にも子育て世代や高齢者に関する項目が目立ち、住民や行政が抱えている問題が浮き彫りに
地域の特性を理解したところで、行政とも一般企業とも異なる「NPO法人」の存在と地域に対する支援活動について、中高生の居場所作りや学習・自立支援、子育て世代のサポートなど、ピアサポートネットしぶやが多くのボランティアや地域の人々と連携しながら行っている事例を交えながら石川氏に解説していただきました。
科目名のとおり「地域ではたらく」ことをビジネスや公務とは異なる視点から考える貴重な機会となりました。

地域の声を同法人で取りまとめ、地域の諸団体と連携し、活動を展開。現在は渋谷区全体の取り組みとして100カ所を目指して広まった「こどもテーブル」※新型コロナ感染症の影響で一部の活動は休止中
NPO法人が活動する上では、住民の声を丁寧に拾い上げ、一般的な関心ごとになる前段階の問題を見つけ出して支援するという「先駆性」が大切とされる一方で、非営利団体として少ない人員と資金で新たな事業を立ち上げ、やりくりしなければならないという難しさがあることを学びました。

住民の声を聞き、行政などが行う大規模な支援の「すきま」で活躍するというNPO法人
授業中には、問い合わせや相談電話を受け、一時的に講義を中断して対応にあたるなど、事務所からのリモート講義ならではの光景も。
学生にとっては普段、NPO法人の職員が事務所でどのような活動をしているのか肌で感じる大変貴重な機会となり、講義後の質疑応答ではスタッフやボランティアが相談者にどのように関わっているのかなど、活動に関する質問が相次ぎました。
人間科学部では秋学期にボランティア活動を単位認定する科目も開講を予定しており、科目担当の宮園教授は学生たちに「自分自身が一歩踏み出す勇気を持ち、積極的に(ボランティアに)挑戦してほしい」と声をかけていました。