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特別講座「ポストコロナの世界とアジア」第7回報告:中国の対外経済政策について客観的に学ぶ

グロコミ

2020.11.11

一般財団法人ユーラシア財団 from Asiaの助成による特別講座「ポストコロナの世界とアジア―アジア共同体への新しい可能性」第7回講座を11/6(金)に開催。
「コロナ時代の中国の対外経済関係と日本」というテーマで、科学技術振興機構・特任フェローの大西康雄氏にご講演いただきました。

科学技術振興機構・特任フェロー 大西康雄氏

 

今回の講義は、世界貿易や世界の資金循環の中で大きな影響力を持つようになってきた中国の経済政策について、専門家である大西氏から客観的な視点で学ぶという内容。

まずは、中国が「世界の工場」から輸出・輸入ともに黒字化し、収益を世界に還元するために新興国にODI(直接投資)を行う資金供給国となった経緯について解説いただきました。

 

輸出・輸入ともにあまりにも規模が大きくなった結果、他国の経済を混乱させる要因ともなっている中国。

そんな中で打ち出された「一帯一路」という対外開放政策は、単に中国の経済利益のみを求めるものではなく、アジア圏の新興国などを中心に貿易協定を結び資金投資及び技術者派遣などを行うことで道路や港、発電所、工業団地地区などの開発援助を行う外交プラットフォームとして機能しているそうです。

一方で、「一帯一路」における問題点や中国自身による見直しの状況、米中経済摩擦への対応および新型コロナウイルス感染症の流行によって、世界的なサプライチェーンの再編が進む見通しがあるということについても、日本企業への意識調査等のデータを交えて解説。
アメリカの規制措置への対応や多国間経済秩序への協力姿勢といった中国側の状況を踏まえ、経済・技術の各分野で中国から日本への協力要請が続くだろうとの見通しも示されました。

ちょうどアメリカ大統領選挙の開票中に講義が行われていたことから、質疑応答ではアメリカ大統領選後のTPPや一帯一路といった自由貿易の動き、米中の技術対立の行方についても意見が交わされました。

本講座は2021/1/8(金)まで、1/1(金)を除く毎週金曜日の13:00~14:30にZoomウェビナーによるオンライン講座として開講。
次回は11/13(金)、テーマは「中国の国境問題」(講師:東京大学名誉教授 石井明氏)です。
一般の方々は無料で受講可能ですので、以下URLより事前登録の上、ふるってご参加ください。

2020年度一般財団法人ユーラシア財団 from Asia助成 特別講座