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特別講座「ポストコロナの世界とアジア」第11回報告:“トウガラシ”をキーワードに食と政治の“革命”を知る

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2020.12.08

一般財団法人ユーラシア財団 from Asiaの助成による特別講座「ポストコロナの世界とアジア―アジア共同体への新しい可能性」第11回講座を12/4(金)に開催。
「アジアを結ぶ赤い絆『トウガラシ』」というテーマで、元朝日新聞編集委員 加藤千洋氏にご講演いただきました。

元朝日新聞編集委員 加藤千洋氏

 

南米から伝来し、中国全土・アジア各地に伝播したトウガラシ。
特にトウガラシを多く食する四川省から貴州省、湖南省、江西省にいたる長江エリア2,500kmを取材し、「辣の道 トウガラシ2500キロの旅」(平凡社)という書籍を上梓された加藤氏に、現地取材の写真やエピソードをふんだんに交えながら、“トウガラシ”をテーマに人々の文化、生活、社会・政治についてまで、幅広い切り口でお話しいただきました。

中国のほか日本・朝鮮半島へもほぼ同時期に伝来したと考えられるトウガラシですが、韓国はキムチ用に「辛く甘い」トウガラシが好まれる一方、中国のトウガラシは「とにかく辛い」そうです。
講義では、トウガラシの畑や豆板醤工場の様子をご紹介いただいたほか、中国は広く、食についても地域色・郷土色があること、中でも特に辛い物を好むエリアでは、幼児のころからトウガラシを普通に食べるという、文化の違いについてもお話しいただきました。

さらに、エドガー・スノーというアメリカのジャーナリストの著作『中国の赤い星』に記された、毛沢東のトウガラシ好きエピソードをはじめ、トウガラシを多食する地域から鄧小平ら中国の革命家を多く輩出してきたというお話も。
「トウガラシは中国に『食の革命』と『政治の革命』という2つの革命をもたらした」と語る加藤氏のお話は、ひと味違った見方で中国やアジアの歴史・政治に親しむきっかけとなったのではないでしょうか。

講座は2021/1/8(金)まで、1/1(金)を除く毎週金曜日の13:00~14:30にZoomウェビナーによるオンライン講座として開講。
次回は12/11(金)、テーマは「ベトナムの対中関係の行方」(講師:東京外国語大学教授 栗原浩英氏)です。
一般の方々は無料で受講可能ですので、以下URLより事前登録の上、ふるってご参加ください。

2020年度一般財団法人ユーラシア財団 from Asia助成 特別講座