Academic Life & Research
教育・研究
国際NGOピースウィンズ・ジャパンの福井氏から南スーダンにおける国内避難民・帰還民に対する支援について学ぶ
2021.07.01
6/22(火)、グローバル・コミュニケーション学科科目「移民と多文化」(川口智恵専任講師)にて、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)東京事務所アフリカ事業マネージャーの福井美穂氏をゲストにお招きしたオンデマンド講義が行われました。
PWJは、「人々が国内外で危機にさらされた人々が紛争や貧困などの脅威にさらされることなく、希望に満ち、尊厳を持って生きる世界をめざす」というミッションを掲げ、世界33か国・地域において緊急人道支援や復興・開発支援を行っている団体です。今回の講義では、PWJによるアフリカ東部に位置する南スーダン支援事業の状況と新型コロナウイルスを含む現在の課題について詳しくお話を伺いました。

南スーダンは、長年の紛争に加え、バッタの異常繁殖による農作物の被害、洪水被害、さらに新型コロナウイルス感染症などにより、人口の60%にあたる580万人が深刻な人道危機に陥っています。その結果、他国へ難民として逃れる人や国内での避難を余儀なくされる人々が増加しています。
授業の前半では、PWJが現地で実施している「給水・衛生・衛生促進」などの支援事業について、具体的に紹介していただきました。
まず、手洗いや食事の準備など日常生活に不可欠な水の確保のための管井戸など給水施設の整備、衛生状況を確保するためのトイレや廃棄物輸送の整備について説明いただきました。加えて、衛生啓発として感染症予防対策研修や女児への月経衛生管理尊厳キットの配付など幅広い支援活動についても紹介いただきました。さらに、新型コロナウイルス感染症によって、邦人タッフの渡航制限や自主隔離期間による活動期間の短縮、国内避難民キャンプにおける集会規制、集会規制、現地スタッフの安全確保などの困難が生じていることもお話いただきました。

授業の後半は、川口専任講師との対談形式で、事前に学生から寄せられた質問に答えていただきました。
「なぜ、人道支援をするのか」「避難民キャンプでの女性、子ども、障がい者らに対する支援はどうなっているのか」「人道支援のゴールとは何か」といった様々な質問に、福井氏自身のご経験を交えながらお答えいただきました。
また、「私たちにできることは?」という学生からの質問には「まずは『知る、知ろうとすること』。(人道支援に)携わるかたちはたくさんあるので、ボランティア、インターン、アルバイトなど、自分に合った方法で、できることをみつけてほしい」と温かいエールをいただきました。
南スーダンにおける支援活動については、下記の著書にて詳しく紹介しています。ぜひお読みください。
[出版]井上准教授・川口専任講師『国際平和活動の理論と実践―南スーダンにおける試練』(共著)