Academic Life & Research
教育・研究
「避難所の運営」をテーマに地域を支えるためのコミュニケーションとチームワークを体験
2025.07.14
東洋学園大学では、都心の立地や大学の持つ様々なリソースを生かした「TOGAKU PBL」(PBL=課題解決型学習)を積極的に推進しています。
6/19(木)、人間科学部の「人間科学基礎演習A(心理・カウンセリング)」(塩谷隼平教授)にて、災害時の“避難所の運営”をテーマにしたグループワーク形式のPBLを実施。
学生たちは避難所の運営者として周りのチーム(避難所)と物資をやり取りしながら、地域の人々を支えるためのチームワークやコミュニケーションについて学びを深めました。

指導を担当する塩谷教授は、東日本大震災後に現地で心理支援に従事。
当時の経験を学生たちに紹介したほか、震災発生当時に気仙沼在住だった学生が避難所での体験を話すなど、まずは震災当時について、心理学の視点から振り返りが行われました。
続いて、学生たちが少人数のグループに分かれ、「避難所の運営」に挑戦。
各グループそれぞれに、規模(人数)や広さ、水道・電気・ガスなど生活インフラの状況、そして「怪我人がいる」「風邪が流行」など、必要な支援の状況設定が異なる避難所が割り当てられました。

その後、塩谷教授から各「避難所」に、支援物資のカードがランダムに配布され、グループワークがスタート。
学生たちは各チームに必要な物資の確保に向けて、7回しかない他のチームとの「交換」チャンスに臨みました。

配布された支援物資の中には、「水」や「食料」、「歯ブラシ」などの生活必需品に加え、「医師」や「生理用品」、「ミルク」、「ペットフード」といった、特定の支援に必要な人や物資、さらには「ゲーム機」「お酒」「有名人の慰問」といったカードも。

学生たちは、自分のグループが運営する避難所の状況に合わせて物資を他グループと交換していきます。

当初はどのグループも「今すぐに必要ではないもの」を交換に出そうとするものの、交換相手も必要としていない物資が多く、不成立が多発。
そこから徐々に「自分の避難所が必要なもの」を伝える学生や「相手が必要とする物資」を聞きだす学生が増え、「出産間近の妊婦がいるから産婦人科医のカードを交換してほしい」「交換する代わりに、次回の交換では自分の避難所に足りない物資を譲ってほしい」など、他グループとの協力が生まれていきました。

最終的に、必要なものをしっかりそろえたグループがある一方、一部の避難所が食料や水などを必要以上に確保してしまい、周りの避難所に行き渡らなかったり、ケアが必要な避難者の情報を伝えきれず、必要な物資を用意できなかったりというグループも。

学生たちからは「情報共有の重要性に気づいた」「どの避難所にどんな人がいるのか/避難所同士が必要としているものの情報を共有することが大事だと気づいた」という声が多くあがりました。

また、「災害がいつ起きても対応できるようにしようと思った」「実際の避難所ではもっと緊迫した空気になるだろうから、より広い視点で冷静に対応する必要があると感じた」といった感想も聞かれ、災害という社会課題を意識し、地域の人々の心、健康、生活を支える方法を改めて考える授業となりました。