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産学“寺”連携「お寺活性化プロジェクト」
2019.10.16
コンビニの店舗数よりも多く存在する日本のお寺。その数、およそ7万寺。しかし、檀家の減少や後継者不足などの影響を受け、存続の危機に瀕しているお寺も少なくありません。そんな社会的課題の解決をテーマにしたプロジェクトが、現代経営学部の本庄加代子准教授が担当する2年次科目「企画・プレゼンテーション技法」で実施されました。「産学+寺」の連携という新しさもあり、新聞やテレビ各社からも大きな注目を集めた本プロジェクト。学生たちにとっては、社会と関わりながら成長する貴重な機会となったようです。
Topics 1
お寺市場を活性化する マーケティング施策を企画・提案。
産学“寺”連携という今までにない試み
現代経営学部の2年次科目「企画・プレゼンテーション技法」(本庄加代子准教授)では、株式会社シェアウィングが展開する事業「お寺ステイ」とのコラボレーションにより、港区・正傳寺の活性化プランを企画・提案するという産学“寺”連携プロジェクトを実施しました。
「お寺ステイ」とは、お寺での滞在や体験を通じて文化・伝統を知ってもらうという取り組みで、新しいインバウンドビジネスとしても注目されています。
プロジェクトでは、学生106名が10チームに分かれて正傳寺の活性化プランを立案。まずは授業内でプレゼンテーションを行い、学生投票で上位となったチームが正傳寺の田村住職らを前に発表・提案しました。

最終プレゼンテーションの様子。この日に学生投票で選ばれた上位チームら4チームが住職へのプレゼンテーションに参加
企画を練り上げ、相手に「伝える」スキルを習得
実在するお寺の活性化ということで、学生たちは「自分のアイデアが社会を動かすかもしれない」というやりがいを持って企画立案に取り組んだようです。その結果、若者ならではの柔軟な発想を活かしつつも、机上の空論に終わらない実現可能性を秘めたプランが出そろいました。その中からいくつかの企画をご紹介します。
■御守り作りや法衣体験などファミリー向けイベントの提案
■ “棺桶ワーク”を中心としたお葬式体験の提案
■勝運の縁起物“むかで”をテーマにした闘茶体験&祈祷茶販売の提案
今回のプロジェクトを通じて、「自分の考えやアイデアを的確に相手に伝える方法」も習得した学生たち。「伝える力」は、自分らしい人生を切り拓くために不可欠なスキルのひとつであり、かけがえのない財産です。将来、ビジネスシーンでも大いに役立つことでしょう。
Topics 2
大学を飛び出した学びで、自主性や積極性がアップ!
大学を飛び出した学びで、自主性や積極性がアップ!

正傳寺にて、田村完浩住職や(株)シェアウィングの代表取締役シェア社長・雲林院氏らとともに
多くの学生がプロジェクトの意義や自身の成長を実感
「お寺の活性化は、大学で学んだ“価値はあるが、売れないものを売る”というマーケティング力が試される貴重な機会でした」。そう語るのは、今回のプロジェクトを経験した学生の一人、田中陽太さん。
企画立案にあたっては、なかなかピンとくる案が出せずに苦労したそうですが、チーム内で何度もブラッシュアップを重ね、最終的に「お葬式体験」という斬新なプランを考案しました。
また、本プロジェクトは学生一人一人がお寺の存在意義を「自分ごと」として考え、改めて日本文化を見つめ直すきっかけにもなったようです。
「お寺はこれまで近寄りがたい神聖なイメージでしたが、身近に感じられるようになりました」(髙野亜美さん)と振り返る学生もいました。
さらに、企業の経営者やお寺を取り巻く人々との関わりも成長につながった様子。社会人に対するプレゼンテーションは授業内での発表とは違う緊張感があったようで、「積極的に行くんだ! という意識を高めて取り組みました」(越野和真さん)などの声も。
入念に準備して挑んだ正傳寺でのプレゼンテーションは見事成功し、学生たちは自信を高めたようです。
Topics 3
テレビ、新聞、WEBなどの 記者たちが取材に殺到!
テレビ、新聞、WEBニュースなどの記者たちが取材に殺到!

30名を超える記者を前に堂々とプレゼンテーションを行った髙野さん(左)と田中さん(右)
学生自らがメディアへの説明やインタビューに対応
7/25(木)に正傳寺で開催した「お寺ステイ産学連携プロジェクト共同記者説明会」にはメディア各社から30名以上もの記者が集まり、プロジェクトへの注目度の高さがうかがえました。
当日は、本庄准教授とともに代表学生2名が出席。代表学生は記者の前に立ち、自信を持って堂々とお寺活性化プランについてのプレゼンテーションを行いました。
また、本プロジェクトは日本経済新聞や毎日新聞のニュースサイト、NHK「首都圏ネットワーク」などでも紹介され、大きな話題となっています。
【プロジェクト紹介メディア一覧】
■テレビ
2019.8.7 NHK首都圏ネットワーク(中継)
■新聞
2019.7.2 日本経済新聞
2019.7.12 中外日報
2019.7.31 建設工業新聞
2019.8.13・23合併号 全私学新聞
2019.9.7 産経新聞
■webメディア
2019.7.25 Hotelbank
2019.7.26 HOTELIERホテリエ
2019.7.29 時事ドットコム
2019.7.29 毎日新聞@大学
2019.8.2 マイナビ学生の窓口
2019.8.2 exciteニュース

NHK「首都圏ネットワーク」での中継の様子
学生の成長にも、社会貢献にもつながる有意義な結果に
プロジェクトを指導してきた本庄准教授は、「企業やお寺に企画・提案を行うだけでなく、メディアを通じて社会全体に向けて発信することにもなりました。カメラを前に、大人でも緊張する場面に応えてきた学生たちは、社会が求める『一歩踏み出す力』を体得できたのではないかと思います。また、今回は106名の学生が受講していましたが、全員を誇りに思います」とコメントしました。
また、「お寺市場の今後をどうするか」という課題に対して、「マーケティングの観点から、若い目線でのソリューションを提供できたのでは」とも振り返る本庄准教授。
学生一人一人の自主性や能力を伸ばすと同時に、社会的課題にも応える非常に意義深いプロジェクトとなりました。