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東洋学園大学のオンライン授業(6)―4年生の卒業論文発表会―
2021.03.16
4年間の学びの集大成である卒業論文発表会。例年は、対面型の発表会を実施してきましたが、コロナ禍の今回は、各学部ともオンライン開催に初挑戦。発表者たちは、日頃のオンライン授業で使い慣れたMicrosoft Teamsを駆使し、自作のスライドを表示しながら、堂々とプレゼンテーションを行いました。その発表の様子を学部ごとに詳しくご紹介!個性を大切にするTOGAKUならではの、バラエティ豊富な卒論テーマにもご注目ください。
Topics 1
グローバル・コミュニケーション学部の発表会
4年間を通じて、国際社会で豊かに生きるための知識や言語を研究してきたグローバル・コミュニケーション学部の学生たち。
卒論のテーマも、「インバウンド」や「共生社会」、「海外でのチップ文化」、「なぜ日本人は英語のスピーキングが苦手なのか?」といったグローバルな視点のものが多く見られました。

発表会では、10名の代表者がプレゼンテーションを実施。全員の発表後に投票が行われ、優れたプレゼンを行った学生に賞が贈られました。

グローバル・コミュニケーション学部の発表者
投票の結果、最優秀発表賞に選ばれたのは、グローバル・コミュニケーション学科の森山晴介さん。
「論文を書くのが楽しかったので、それが話し方にも出たのかも」と受賞の喜びを表現しました。


最優秀発表賞に輝いた森山晴介さん
森山さんの研究は、高校の新科目「総合的な探求の時間」に対して疑問を持ったことからスタート。同科目において一つに扱われている「自己形成」と「探求的な学習」は、そもそも統合できるのか?どのように統合されるのか?といったことを検証し、論文にまとめました。発表会では、専門知識のない人にも理解しやすいよう、かみ砕いた説明を加えつつ、テンポよくプレゼン。発表後、教員から寄せられたハイレベルな質問にも丁寧に回答し、細やかな研究を積み重ねてきたことが伝わりました。

優秀発表賞を受賞した「『マクベス』から読み解く<悲劇>と<運命>」(髙橋彩さん)
優秀発表賞に選ばれたのは、英語コミュニケーション学科の髙橋彩さん。
文学好きな個性を活かし、シェイクスピアの戯曲『マクベス』を題材として、悲劇はなぜ読み継がれるのか?について研究しました。
落ち着いたトーン、程よいスピード感のプレゼンが評価され、受賞につながったようです。
「相手が見えない」というオンライン特有の難しさを感じさせない、素晴らしいプレゼンテーションを披露したグローバル・コミュニケーション学部の発表者たち。
論文内容も仮説・検証のプロセスを丁寧に踏んだものばかりで、学部長からは以下の講評をいただきました。
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「皆さんの力作を楽しんで聞かせていただいきました。問いを立て、問題を解決していくということは、今後の社会生活の中でも求められるスキルだと思います。これから社会で活躍していくうえで、卒業論文がその一歩になってくれたらと願っています」(グローバル・コミュニケーション学部長 高尾享幸教授) |
なお、同学部では、優れた論文内容に対する賞として、最優秀論文賞が贈られます。
今年度の受賞者は、「映像作品によるインバウンド誘致に関する研究」を制作した嶋田良平さん(グローバル・コミュニケーション学科)と、「ジェイムズ・ジョイスの『ダブリナーズ』における父の存在」を制作した松岡美穂さん(英語コミュニケーション学科)に決定しました。
Topics 2
人間科学部の発表会
人間科学部の卒業論文発表会では、10名の代表者がプレゼンテーションを実施。
新4年生も聴講し、一時は160名ほどが参加する大規模な発表会となりました。

心理や身体、スポーツ、地域社会など、「人間」について幅広く学んできた同学部の学生たち。
卒論のテーマも、「少年犯罪」や「ストレス」、「アスリート」など、人間を軸にしたバラエティ豊かな内容でした。

「幸福と人間関係~様々な年代の共通点と違い~」(幸田優里さん)
なかには、コロナ禍での気づきを取り入れた研究も。
たとえば幸田優里さんは、コロナ禍において人とつながる大切さを再確認し、卒論テーマを「幸福と人間関係」にしたそう。
テレビ電話を駆使して、さまざまな年代の男女5名にインタビューし、どんな時に幸福を感じるか?を調査。
その結果をわかりやすく図式化したスライドを用いて、プレゼンテーションを行いました。

「『まぁ、いいか』についての心理的考察」(井上慧悟さん)
井上慧悟さんもまた、コロナ禍で高まるストレスをどう解決するか?に焦点を当てて研究。
Googleフォームを活用して本学の学生101名にアンケートを行い、その結果をグラフや表にまとめていました。
プレゼンテーションにおいては、画面の向こうの相手を意識し、明るく語りかけるような口調が印象的でした。
コロナ禍で人と会うのが難しい状況でも、リモート調査を積極的に取り入れ、裏付けのある結論を導き出していた人間科学部の学生たち。学部長からは以下の講評をいただきました。
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「オンライン開催という不慣れな状況の中でも、非常にしっかり対応していたと思います。対面による調査を行うことが難しい中、Googleフォームによるアンケートやテレビ電話によるインタビューなどを取り入れ、コロナ禍の時代に即した研究を行っていたのも印象的でした」(人間科学部長 阿部一教授) |
Topics 3
現代経営学部の発表会

現代経営学部の発表者と指導教員、田中巌学部長
現代経営学部の発表会では、ゼミ教員の推薦を受けた4名の代表者がプレゼンテーションを実施。
4年間を通じて、「旬のビジネス」や「現代社会の課題」について学んできた現代経営学部らしい卒論テーマが並びました。

4名全員の発表後には、教員による投票が行われ、中島日菜子さんが最優秀論文賞を受賞。
中島さんは、在学中に中国へ長期留学した際、「日本人女性よりも、中国人女性のほうが世界的な地位が高い」と感じたことをきっかけに、今回の研究を実施。
日本語、英語、中国語を駆使して働く女性にインタビューを行い、成功するために必要なスキルや性格を調査しました。
さらに、論文をすべて英語で執筆するというチャレンジも行いました。


最優秀論文賞を受賞した中島日菜子さん
過去2回、中国語スピーチコンテスト「鑑真杯」に出場し、2回とも2位で悔しさを抱えていた中島さん。
「卒業論文発表会では最優秀論文賞を受賞したい!」という並々ならぬ決意で挑み、聞き手を引き込むプレゼンテーションを披露。
見事受賞を果たしました。

「マルチサイド・プラットフォームにおける看板ユーザーの諸問題と時間的な制約」(日下夏輝さん)
その他の発表者も、図やグラフなどを盛り込んだ自作のスライドを用いながら、自身の研究成果をハキハキと発表。
いずれもビジネスプレゼンのような完成度の高さで、学部長からは以下の講評をいただきました。
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「2020年度は、新型コロナウイルス感染症の影響で対面の授業が難しい状況でしたが、これだけ充実した研究を行い、発表もプレゼン資料もわかりやすく、いずれも説得力の高い発表だったことを嬉しく思います」(現代経営学部長 田中巌教授) |
初のオンライン開催となった卒業論文発表会は、各学部とも大きなトラブルなくスムーズに終了。
社会全体のリモート化が進む今、今後はビジネスシーンでもオンラインプレゼンの機会が増えていくことでしょう。
これから社会に羽ばたく4年生にとって、今回のオンライン卒業論文発表会は、未来に向けての貴重な経験にもなったようです。