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【公開講座】第5回「アメリカ社会にみる食事の変化:大量消費からエシカル&サステイナブルへ」

地域間連携,教養教育

2024.08.08

学問領域にとらわれない幅広い教養(リベラルアーツ)を学ぶ「公開講座」の第5回を7/13(土)に開催しました。

亜細亜大学経営学部講師の加藤恵理氏を講師に迎えた今回のテーマは「アメリカ社会にみる食事の変化:大量消費からエシカル&サステイナブルへ」。

オンラインによるライブ配信も同時に行われ、72名(対面24名、オンライン48名)の方にご参加いただきました。

加藤恵理氏

冒頭、加藤氏は”You are what you eat”「アナタはアナタがたべたモノ」というフレーズを提示し、「何を食べているか」はその人やその社会について多くを教えてくれると紹介。
アメリカの歴史を軸に、「食」について3つのテーマに分けて解説し、アメリカ社会の食文化の変遷を紐解くとともに、世界の食の課題と未来について言及しました。

二人組になってもらい聴講者に問いかけ。自らその対話に入っていく加藤氏

最初のテーマ「人種の多様性」では、欧州からの入植者が土地を略奪しながら先住民の食文化を自分たちのものとして「盗用」したことや、奴隷制のなかでソウルフードが生まれたこと、人種偏見を助長するような食の広告など、アメリカの食文化の歴史を紐解くと負の側面が目立つという見解を示しました。

2つめのテーマ「科学の発展」として、現在のアメリカを象徴する「鶏(チキン)」を例にあげて言及した加藤氏。薬や輸送、冷蔵などさまざまな技術の発展によって、鶏肉の大量生産が可能になりアメリカが「鶏肉大国」になっていった背景を解説しました。

最後のテーマ「環境への懸念」では、大量生産を実現したものの、生産性を最優先することをアメリカ社会が問題視するようになったことを取り上げました。家畜の飼育方法の改善を求める「アニマル・ウェルフェア(動物の福祉)」の必要性が訴えられるようになった流れを解説。さらに地球環境課題に沿った技術発展、未来へ向けての新たな動きについて説明し、世界的に食文化が大きく変化していることについて説明しました。

加藤氏は、「アナタはアナタが食べたモノが食べたモノでできている」というメッセージとともに、「この講義で今後の世界の『食』がどうあるべきか、一人ひとりがどのような『食』の選択をしていったらいいかを考えるきっかけとなったら嬉しい」として講義を締めくくりました。

講演後は参加者から「アメリカ産鶏肉は日本へ輸出されている?」「日本とアメリカの『食の価値観』の違いは?」などオンライン・会場から質問が多く寄せられ、質問のひとつひとつに具体的に回答をいただきました。