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教育・研究
プロジェクトマネジメントにおけるリーダーシップとは?「GENKEI Business English A」特別講義
2025.06.02
東洋学園大学では、都心の立地や大学の持つ様々なリソースを生かした「TOGAKU PBL」(PBL=課題解決型学習)を積極的に推進しています。
5/9(金) 、「GENKEI Business English A」(ネイト・オルソン専任講師他)において合同授業を行い、Veeva Systems(Veeva Japan株式会社)のコンサルタント・菊池慶太氏による特別講義を実施しました。
講義のテーマは「リーダーシップについて」。
菊池氏のキャリアをもとに、社会で求められる実践的なスキルや、人としての在り方について、英語と日本語を交えて語っていただきました。

Veeva Systemsのコンサルタント 菊池慶太氏
冒頭では、菊池氏がどのように現在の職業に至ったか、学生時代からのキャリアの歩みが紹介されました。
もともと外国語を勉強するのが好きだった菊池氏は、大学では言語学を専攻。
スペインへの交換留学を経て、スペイン語と日本語を専門とするフリーランスの翻訳・通訳者として活動するようになります。
卒業後には再びスペインに渡り、現地の大学院で修士号を取得しました。
帰国後に就職した企業で、新しいシステムの導入に携わったことから、IT分野への関心が高まりました。
現在は、製薬・消費財業界向けにITソリューションを提供するVeeva Systemsで、グローバルなチームを率いるプロジェクトマネージャーとして活躍しています。
講義のメインテーマであるプロジェクトマネジメントのパートでは、「すべてのプロジェクトは契約から始まる」とのことから、実際の契約書を提示しながら、契約書に定めるべき4つの要素の関係性について説明。

「成果物(Deliverables)」「期間(Timeline)」「必要な人員(Resource)」「予算(Budget)」の4要素をまず設定し、その他、特に「やらないこと(out of scope)」を明記する重要性を強調しました。
「(相手の)要求を安易に受け入れると、チームも苦しくなるし、クオリティも下がってお客さんにも満足してもらえない。だからこそ、最初の合意形成で丁寧に線引きすることが重要です」と語る姿には、リーダーとしての責任感と誠実な姿勢がうかがえました。
また、プロジェクトマネージャーという仕事におけるリーダーシップの要素としては、次の3点が挙げられました。
・チームの代表者として意思決定をする力(Lead)
・チーム内の円滑なコミュニケーションを促す力(Facilitate)
・ツールを活用して進捗を把握・管理する力(Monitor)

実際の契約書を提示しながら説明する菊池氏
「リーダーシップを発揮するためには、まず責任を引き受ける覚悟がは必要です。でも、一人だけで仕事をしているわけではありません。チームもお客さんも巻き込んで全員を味方にすることで、仕事は驚くほどスムーズに進みます」と語る菊池氏。
そのリーダーシップ観に学生たちは深く頷いていました。
講義の中では4回の質疑応答時間が取られ、学生から多くの質問が寄せられました。
「モチベーションが低いメンバーとの向き合い方」や「語学がキャリアに与える影響」、「やりがいのある仕事に出会うにはどうしたらいいか」など、菊池さんは一つ一つ丁寧に答えてくださいました。どの回答にも、実体験に裏打ちされた前向きなメッセージが込められていました。

中でも印象的だったのは、「AIの台頭によって仕事がどう変わったか?」という問いに対する答えです。
「頭脳労働や肉体労働はAIやロボットに代わられるかもしれない。でも、心のケアのような“「感情労働”」の部分は、AIにはできません。プロジェクトマネージャーの役割は、チームとコミュニケーションを取り、チームメンバーが自発的に動ける環境をつくることです。気持ちが前向きでないとチームは機能しません。だからこそ、“この人と働きたい”と思ってもらえるような人間性が大切です。」
菊池氏が大切にしているのは、単なる指示や管理ではなく、一人ひとりの気持ちに寄り添いながら、チームが自然と前向きに動けるような関係性づくりだと強く感じました。
本講義は、学生たちがリーダーシップを自らの問題として考える貴重な機会となりました。引き続き、学生の未来の可能性を拓く、実践的な授業を展開していきます。