Academic Life & Research
教育・研究

連携
教養教育

【公開講座】第2回「『DoReMi(どれみ)』から始まる子育て♪―子どもの安心の土台を作るために―」

地域間連携,教養教育

2025.06.25

幅広い教養(リベラルアーツ)を学ぶ今年の「公開講座」は「『問いただす、今の教育。つなぎ直す、未来の社会。』―初等・中等・高等教育を越えて考える、子どもと社会のこれから―」をテーマに、全6回の講座を開催します。

2025年度も、多くの方々に生涯学習の機会を提供するため、都心の本郷キャンパスでの対面に加え、オンラインによるライブ配信も同時開催予定です。

第2回は5/31(土)に開催し、31名の方にご参加いただきました。

前回の第1回(5/17開催)と、今回の第2回は「初等教育の現場から―『安心』『不安』『はじまり』をキーワードに、子どもの土台を見つめなおす」がテーマです。

第2回は『DoReMi(どれみ)』から始まる子育て♪―子どもの安心の土台を作るために―」と題し、

講師に認定特定非営利活動法人チャイルド・リソース・センター代表理事の宮口智恵氏を迎えて、虐待をしてしまった親とその子どもをつなぐ支援についての講演が行われました。

講演では、まず宮口氏が設立したチャイルド・リソース・センター(以下CRC、2007年設立、2021年認定NPO法人化)について、設立経緯や活動内容を説明。
また、虐待を受けた子どもの「安心の土台」を共に築くCRCの「親子関係再構築プログラム」や「子育て支援プログラム」についても解説しました。

次に、親子支援のキーワードとなる「アタッチメント」について、詳しく解説。
「アタッチメント」とは、「人が不安や怖れをかんじるときに特定の対象にくっつくことで安心感を得ようとする本能」と宮口氏は説明しました。
そして、虐待をする親の共通点をあげ、「助けて」と言えない状況にいる親子を理解するために「アタッチメント」の視点が役に立つと述べました。

講義後半は、3年前からスタートした「 CRC子育てプログラム DoReMi(どれみ) 」について解説。
虐待で保護された子どもの9割が保護者の元に戻る現状を踏まえ、保護者が「安心の土台」となるために「アタッチメント」を用いたプログラムを実施しているそうです。

同プログラムでは、虐待をした保護者とCRCスタッフが共に考え、対話を通じて学んでいくもので、「『Do―土台づくり』の『Re―練習』は『Mi―見ること』」という「DoReMi」を実践しているとのこと。
子どもに「安心感」を与えるために、「子どもを見る」「自分を見る」「できる方法で、応じる」ことが重要であるとしました。

最後に、宮口氏は支援への関心に感謝を述べ、「これからも子育ての困難を抱える親子と共に今後も活動を続けていきたい」と語り、講演を締めくくりました。

講演後は、「児童相談所における問題点」や「CRCの模範としたカナダでの支援活動との違い」などについて質問が寄せられ、ひとつひとつ丁寧に回答いただきました。

次回の公開講座は6/28(土)に開催。
「主権者教育を再考する―ハンナ・アレントの「主権」論批判を手がかりに―」をテーマに、東洋学園大学 グローバル・コミュニケーション学部 専任講師 樋口 大夢 氏にご講演いただきます。
対面・オンライン併催、要事前申込み(無料)。ぜひご参加ください。

公開講座の参加方法や最新情報、参加のお申し込みはこちら
https://www.tyg.jp/koukaikouza/k-kouza/index.html