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【公開講座】最終回「ウェルビーイングな生き方・働き方」

研究

2025.10.04

幅広い教養(リベラルアーツ)を学ぶ今年の「公開講座」は、「『問いただす、今の教育。つなぎ直す、未来の社会。』―初等・中等・高等教育を越えて考える、子どもと社会のこれから―」をテーマに、全6回の講座を開催してきました。
2025年度も、多くの方々に生涯学習の機会を提供するため、都心の本郷キャンパスでの対面に加え、オンラインによるライブ配信も行いました。

最終回となる第6回は7/26(土)に開催し、オンラインと合わせて87名の方にご参加いただきました。
前回の第5回(7/19開催)と第6回は、”高等教育の挑戦―大学は必要なのか?…問い直す力を育てるPBL教育とウェルビーイングという目標へ。”がテーマです。

第6回の講演は、株式会社YeeY共同創業者・代表取締役であり、一般社団法人日本ウェルビーイング推進協議会代表理事の島田由香氏を講師に迎え、「高等教育を超えて―より良い生き方・働き方を考える」と題し、現代社会で注目を集める「ウェルビーイング」について講演いただきました。

島田氏

人事や組織開発の分野で約30年の経験を持つ島田氏は、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス合同会社で人事総務本部長を務めた後、3年前から「雇われない働き方」を選択。
現在は地域を基盤とした活動に軸足を移し、日本全国のウェルビーイング向上に取り組んでいます。

講師紹介の後、島田氏から参加者に対して「今日、なぜここにいるのか?」と問いかけが。
参加者はその場でグループを作り、自分の思いを言葉にして話し合いました。
参加者同士の活発な対話を受け、島田氏は「こうした対話を通じて共感や新しい気づきが生まれ、この場にいる目的を言語化して改めて確認することで、学びの吸収が深まる」と、グループワークの目的を解説しました。

ウェルビーイングは、WHO(世界保健機関)によると、「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義されています。

これを踏まえたうえで島田氏は、「ウェルビーイングとは、中長期的に『なんとなくいい感じ』『なんとなくいい調子』と感じられる状態」と説明し、「その感覚を言葉で理解するのではなく、体で感じてほしい」と強調。

講師の問いかけに積極的に反応する参加者たち

さらに、「ウェルビーイングな状態にある人は、生産性や創造性が高く、変化への適応力も優れている」ということを、科学的データをもとに提示しました。
その上で、ウェルビーイングな状態にある人々は燃え尽き症候群や離職のリスクが低く、結果として個人の満足だけでなく、組織全体の活性化にもつながることが紹介されました。

島田氏が繰り返し強調したのは、「自分のウェルビーイングに責任を持つ」という姿勢でした。
また、「ウェルビーイングは伝播する」(島田氏)と述べ、「他者を変えることはできないが、自分自身を変えることは可能」「自分がどのような状況で心地よく感じるのか、何に不快を覚えるのか、何が得意で何が不得意なのかといったことを理解することが、その第一歩となる」「自己理解が深まることで、周囲の人々への配慮も自然に生まれ、結果として他者のウェルビーイングにも良い影響を及ぼすようになる」と、自身の状態に対する自覚の重要性について語りました。

講演後の質疑応答では、組織でのウェルビーイング推進や、働く環境の選択について活発な議論が交わされました。

今年度の公開講座では、全6回シリーズを通じて、初等・中等・高等教育の枠を超えた学びの在り方と、より良い社会づくりについて考察してきました。

講演終了後には、愛知太郎理事長からご挨拶をいただき、2025年度の公開講座は幕を閉じました。

愛知理事長

2026年度、東洋学園大学は100周年を迎えます。
今後も、地域社会と連携しながら発展するオープンな大学を目指して、最新の研究成果や知見を、誰もが無料で学べる公開講座として発信を続けます。