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現代経営

「リポビタンD」のケース(事例)からマーケティングを学ぶ。大正製薬(株)特別講義

現代経営

2020.07.28

7/13(月)、マーケティング関連科目の特別講義として、大正製薬株式会社の星新児氏と吉田輝史氏をゲストに招いてのリモート講義「リポビタンDの4P戦略」が行われました。

今回の講義は、現代経営学部でマーケティングに関する科目を担当している本庄加代子准教授と八塩圭子准教授の連携企画として「マーケティング戦略」の授業時間に実施され、約50名の学生が受講し質疑応答も活発に行われました。

さらに、同講義の録画素材を「マーケティング入門」や「マーケティングリサーチ」の授業でも教材として使用し、ビジネスの事例(ケース)を使って各科目の研究テーマに沿って多角的に学ぶことを目的としています。

講義の様子。画面左から時計回りに八塩准教授、大正製薬(株)の星氏、本庄准教授、大正製薬(株)の吉田氏。

「マーケティング戦略」の受講学生からは「授業で習った4P戦略を実際に大正製薬さんのリポビタンDで説明していただいて分かりやすく理解することが出来た」「実際話を聞くまではここまでマーケティングを使って製品を販売しているとは思っていなかった。4Pが経営の上でとても重要なことだと実感し、しっかり学ぼうと思った」と、ケースを通じて理論への学びが深まったという声が多数寄せられました。

ここからは、講義の様子を一部ご紹介します。


ライブ授業として行われた「マーケティング戦略」には50名近い学生が出席。

星氏と吉田氏から、「リポビタンD」という商品の4P(プロダクト、プライス、プレイス、プロモーション)について学びました。

マーケティングの基礎的な理論である「4P」を、具体的な商品例を使って学ぶ

“ドリンク剤”という新たな飲料カテゴリーを創出し、以来57年間にわたってシェア1位を獲得してきた「リポビタンD」。

講義では、プロダクト(製品概要やブランド維持の取り組み)、プライス(価格設定)、プレイス(薬局での直販)、プロモーション(マスメディアを使った販売促進)について、具体的なグラフやデータをもとに解説いただきました。

ブランドイメージを保つため「敢えて変えない」デザイン戦略の解説

中でも、学生たちの反響があったのが「価格設定」と「営業戦略」の部分。

発売当時から変わらない150円という価格設定については、実は牛乳やタクシーの初乗りよりも高かった当時の物価を踏まえた上での戦略を解説いただき、学生からは「高価格とすることで注目を浴びさせようというのはとても斬新な考えで、医薬品だからこそできる強い戦略だなと思います」という感想が寄せられました。
また、薬局での直販という販売手法でファンを増やす戦略と、その裏にある営業担当者の働きにも、驚いた学生が多かったようです。

時代に合わせたコンセプト変更、ブランディング、PRについても解説

さらに学生たちが大きく反応していたのが、同社が近年手掛けている若年層向けのマーケティング戦略です。
出席した学生による授業前アンケートでは、「ファイト一発!」のコピーやテレビCMを通じた強固なブランディングで、認知度は高いものの「自分(若者)向けではない」と感じている学生が多い、という結果が出ていた「リポビタンD」。

同商品のマーケティング戦略における、まさに「今」の課題として、Webの動画広告や人気アニメとコラボしたパッケージデザイン、e-sportsへのアプローチといった新たな戦略を次々打ち出していることをお話しいただきました。

学生たちにとって、自分たちがターゲットである事例をお話しいただいたことで、顧客と企業の視点を同時に捉えながらマーケティング戦略の事例を学ぶまたとないチャンスとなり、質疑応答ではチャットで続々と質問が寄せられました。

チャット画面(右下)に寄せられた学生からの質問に答える吉田氏

ジェネレーションギャップを逆手に取った動画広告のコンセプトと効果、e-sportsに着眼した経緯、PRにおける協力会社の使い分けといった現在進行中の具体的な施策に対する学生の質問に対して丁寧に説明いただき、まさに「現代経営」を学ぶ好機となりました。

授業後アンケートでは学生たちの商品に対する興味が授業前と比べて大幅にアップしたことが伺えて、講師の方々も思わず笑顔に