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特別講座「アジア共同体の新しい視角」第1回報告:日本語から中国語へ逆輸入された言葉とは

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2021.09.21

9/17(金)より一般財団法人ユーラシア財団 from Asiaの助成による特別講座「我々は『ステークホルダー』−アジア共同体の新しい視角」(科目名:アジアの社会と文化)を開講。
第1回講座は本学グローバル・コミュニケーション学部の朱建栄教授が講師を務め、「日中関係 2000年の腐れ縁」というテーマで実施されました。

朱建栄教授

初回の講座では、2000年にわたる日本と中国の関係を文化や言語の視点から解説。
まずは歴史を遡り、「招き猫」「てるてる坊主」など身近なものやお伽話や神話の原型など古代中国文化から日本に入ってきたものの話からスタートし、近年の中国(唐代)の楽譜に日本の片仮名に近い表記が見つかり、それが日本の片仮名の形成に影響しているのではないか、といった説が紹介されました。

次に、「和製漢語」をキーワードに、日清戦争後に近代日本が中国に及ぼした影響を解説。
日本では、「峠」「辻」「笹」といった「和製漢字」は昔から作られていましたが、文明開化によって欧米文化を翻訳するにあたり、「電気」「地球」「文化」「郵便」といった西欧由来の概念に漢字をあてた日本ならではの語彙(和製漢語)がどんどん作られました。
中には「文学」「環境」「政治」など、日本人が欧米の言葉を翻訳する際に古代中国語の漢語を再解釈・改造して作られた言葉もあるそうです。
さらに、それらの語彙は日本で出版された英和辞典から中国に逆輸入され、特に自然科学や社会科学の基本概念にまつわる新語として中国語にも定着。
日本語の影響が、中国語の語彙はもちろん、表現やセンテンスにまで及んでいることを解説しました。

参加者との質疑応答では、日本・中国の文化の共通点についてのほか、講義当日のニュースになっていた中国のTPP加盟、さらにはSNSを使った日本と中国の若者同士の交流についてなど、幅広い領域を扱う同講座ならではの話題も。
日中関係の新たな転換期を前に、「日本と中国との2000年の関係を振り返ると、摩擦を起こしつつも互いに影響しあい、繋がっているというのが日中関係であり、切っても切れない深い絆があるのではないか」(朱教授)と、相互理解と相互尊敬の重要性が語られました。

今年度は2022年1月まで全14回にわたり、様々な講師を招くオムニバス形式で開講。
一般の方々もZoomウェビナーで聴講が可能です。
次回は9/24(金)、講師に北京大学外籍専家の馬場公彦氏を迎え「コロナ禍での中国社会の日常」というテーマで実施します。
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