Academic Life & Research
教育・研究
異文化交流の視点から日本の将来を考える。柳井俊二大使による講演会報告
2022.02.18
1/11(火)、本学と北海道文教大学、中央学院大学との三大学共催講演会を対面とZoomを使って開催いたしました。
講師に国際海洋法裁判所裁判官 柳井俊二氏をお招きし、「異文化交流と日本の将来」というテーマでご講演いただき、60名を超える三大学の学生や教職員が参加しました。
柳井氏は、外務省での総合外交政策局長(初代)や外務事務次官、駐米大使などを経て現在は国際海洋法裁判所裁判官として活躍されています。

国際海洋法裁判所判事 柳井俊二氏
講演では、海洋の境界線をめぐる紛争に関連した裁判の話などに加え、国際海洋法裁判所の組織などについてもお話いただきました。「国際海洋法判事は21名で構成され、全員の出身国が違っているので、毎日が異文化交流である」という海外で勤務することの醍醐味もご紹介いただきました。
また、異文化に触れることで大きな刺激を受ける例として、浮世絵が西洋画家によって模写され、逆に西洋画の遠近法等の手法が日本画にも取り入れられ、その後の絵画作品に大きな影響を及ぼしたといった具体的なものも挙げられました。
さらに、外務省在職中の二国間会議と多国間会議との違いや国際的な仕事の難しさや「法律のとらえ方も考え方も国によって少しずつ違う」「国際機関で働くには国際的な言語(英語やフランス語など)の非常に高いレベルが求められる」など、様々なお話を伺うことができました。

また、柳井氏は日本人の海外留学事情についても言及されました。
日本人の海外留学者数の推移を提示しながら、ピーク時から日本人の海外留学者が減る一方であることを指摘され、こうした内向きの傾向を憂慮しつつ、若者による国際交流の重要性を強調しました。

最後に今後の日本の発展の可能性を紹介され、「新型コロナウイルス感染症が収束の後、海外留学などで異文化間交流を発展させ、大きな刺激を受けて新しいものを作っていくことが重要。異文化間の交流なしでは、日本が孤立(ガラパゴス化)してしまう」と締めくくりました。
参加学生からは「国際的な仕事に興味があるので実際に活躍している方からの貴重なお話を聞けて充実した時間になりました。」「とても貴重なお話を聞くことができました。とても楽しかったです。」など、将来や今後の学びに対する大きな刺激を受けたとの声が相次ぎました。国際裁判所の裁判官と直接お話ができ、非常に貴重な機会になったようです。