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[現代経営研究会]無印良品のウェルビーイングな思想とは?良品計画の前社長・松﨑氏による第5回講演を開催

現代経営

2022.12.13

11/30(水)、「現代経営研究会」の第5回講演を対面とオンラインで併催しました。
今回の講師は、株式会社良品計画の前社長であり、講演直前まで同社の取締役副会長(兼)執行役員を務められていた松﨑曉氏。「無印良品の経営理念と事業展開」というテーマでお話いただきました。

2015年から2021年8月末まで(株)良品計画の社長を務められた経歴を持つ松﨑氏

(株)良品計画はご存じの通り、無印良品やMUJIブランドを展開するグローバル企業。「感じ良い暮らしと社会」の実現に貢献することを理念としており、まさにウェルビーイングを体現する企業といえます。

松﨑氏は冒頭、無印良品の成り立ちを解説。
「無印良品は1980年の日本に『消費社会へのアンチテーゼ』として生まれた。そして、売る立場ではなく『生活者の視点』で、生活に必要なものを必要な形でつくることを追求してきた」というお話がありました。

さらに、無印良品の考え方について、以下のような5つの視点から解説いただきました。

  1. 商業主義による狭義のデザインの氾濫に対するアンチテーゼ
  2. 大量生産、大量消費、大量廃棄への批評
  3. 1人1人の個性を尊重し、コマーシャリズムの要素や無駄を排除することで個性を

ユーザーに委ねる

  1. 消費をブランド名やデザイナー名で誘導しない
  2. 地球環境や生産者への配慮を含め、「最良の生活者」を探求

素材の本質に目を向けた商品開発が、おのずと食品ロス削減やリサイクルにもつながっている。(画像提供:良品計画)

商品開発にあたって、無印良品が掲げてきたのは「素材の選択」、「工程の点検」、「包装の簡略化」という3つの基本原則。
その基本原則に即した開発事例の紹介もあり、生活者や社会が求めるよりよい商品を探求する中で、「今まで捨てられていた素材を活用する」、「農薬の害から生産者や環境を守る」、「発展途上国を支援する」といったSDGsにも通じる取り組みが必然的に行われてきたことがうかがえました。

上海淮海755店のオープン当初の様子。入場制限がかかるほどの大盛況となった。(画像提供:良品計画)

無印良品の店舗は、2022年8月現在、全世界32の国・地域に拡大しています。なかでも躍進を見せているのが中国事業であり、その礎を築いたのが松﨑氏でした。中国には2005年に初上陸し、さまざまな困難を乗り越えながら、2013年までに100店舗出店を達成。2015年には世界旗艦店となる上海淮海755店をオープンさせたそうです。

創設時から社会や環境に配慮してきた無印良品。今後はその取り組みを加速させていくという。(画像提供:良品計画)

の他にも、「感じ良い暮らしと社会」の実現の思想から生まれた地域共生プロジェクトの紹介、「社会的課題の解決」を見据えてESGのトップランナーを目指していること、「公益人本主義経営」の考え方で人材育成に力を入れていること、などをお話いただきました。

聴講者とコミュニケーションを取りながらの講演

無印良品に脈々と受け継がれる「ウェルビーイングな思想」について、理解を深めるきっかけとなった今回の講演。
会場で受講した本学の学生たちも、普段から無印良品を愛用しているようで、松﨑氏のお話に興味津々の様子でした。また、講演後には活発な質疑応答が行われました。

次回の現代経営研究会は最終回。12/14(水)、日産自動車株式会社 専務執行役員 チーフサステナビリティオフィサーの田川丈二氏を迎え、「日産のサステナビリティ活動を通じた企業価値向上の取り組み」というテーマで講演いただきます。(対面・オンライン併催)

詳細・受講のお申込み(事前登録制)は以下リンク先にてご確認ください。
https://www.tyg.jp/koukaikouza/business/index.html