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教育・研究
[現代経営研究会]サッカー界からジェンダー平等を発信。WEリーグ初代チェア・岡島氏による第4回講演を開催
2022.12.17
11/16(水)、「現代経営研究会」の第4回講演を対面とオンラインで併催しました。
今回の講師は、公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)初代チェアの岡島喜久子氏。
「スポーツ界からジェンダー平等を実現する ―WEリーグが描く未来」というテーマでお話いただきました。

サッカー選手として活躍しつつ、金融業界でキャリアを築いた経歴を持つ岡島氏
WEリーグとは、2021年に開幕した日本初の女子プロサッカーリーグのこと。
WEはWomen Empowerment の略であり、「女性を勇気づけられるようなリーグに」との想いが込められているそうです。
元サッカー選手でもある岡島氏は、このWEリーグの初代チェア(理事長)を2年間務め、任期満了に伴って今年9月に退任されています。

WEリーグ参入クラブについての解説。現在11クラブが参入している
WEリーグは理念として「ジェンダー平等」を掲げており、岡島氏はまず、その理由を解説。
前提として、「サッカーはもともと男子のスポーツだったため、女子がジェンダーの壁にぶつかりやすい」という課題についての説明がありました。

WEリーグは「ジェンダー平等、多様性社会の実現」を理念として掲げている。
そして、これまでは女子選手自身も「女子なのにサッカーをやらせてもらっている」という意識が強く、たとえば男子選手より練習環境が劣るといった状況に直面しても、それがジェンダー問題だとは認識していなかったそうです。
そこで、「女子選手自身にも意識を変えてもらい、日本の女子スポーツ全体の目標になってほしい」との想いからジェンダー平等を掲げることになった、というお話がありました。

女子選手の現在・未来のウェルビーイングを重視したクラブ参入基準を導入
ジェンダー問題の解決に向け、WEリーグではさまざまな取り組みを行っているそうで、その一つが「クラブ参入基準」の導入。
クラブがWEリーグに参入するためには、「スタッフの50%以上が女性であること」、「役員やコーチングスタッフに必ず女性がいること」などの基準を満たす必要があります。
この施策には、現役選手の環境をよりよくするとともに、引退した選手の受け皿を作る(引退後にクラブのスタッフとして働けるようにする)という目的もあるそうです。

選手の地域貢献活動の様子。地域とつながることで選手の社会性も育まれる
また、「WE ACTION」という施策も実施しており、選手がSDGsやジェンダー平等につながる地域貢献活動を行ったり、クラブが選手のさまざまなサポート(主に出産・育児面への配慮)をしたり、選手・クラブ・パートナー企業の三者がジェンダー課題について話し合う機会を設けたりもしているそうです。

パートナー企業も巻き込んでジェンダー課題の共有を行っている
ジェンダー問題を解決して多様性を実現することが、ひいては全体の利益やウェルビーイングを高める、という構図は企業活動でもスポーツ界でも同じ。
WEリーグの取り組みが、今後のスポーツ界全体にどんな変革をもたらすのか楽しみになるような講演でした。

会場では本学・現代経営学部の学生らが対面で聴講
講演後には活発な質疑応答が行われ、本学の学生からは「男性ばかりの組織の中に女性を迎え入れる際、気を付けるべきことは?」などの質問が挙がり、丁寧にご回答いただきました。