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[現代経営研究会]最終回を開催。日産自動車のサステナビリティ活動を牽引する田川氏が講演

現代経営

2022.12.23

12/14(水)、今年度の「現代経営研究会」の最終回となる第6回講演を対面とオンラインで併催しました。
今回の講師は、日産自動車株式会社 専務執行役員 チーフサステナビリティオフィサーの田川丈二氏。
「日産のサステナビリティ活動を通じた企業価値向上の取り組み」というテーマでお話いただきました。

IR部のヘッドなどを経て現職に就いた田川氏

日産自動車(株)は、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」のもと、真に持続可能な企業となることを目指し、ワクワクする電動車と技術革新を通じた人々の移動の可能性と、社会の可能性を広げる取組みを続けています。

日産は「アリア」、「リーフ」等のEVに加え、独自のハイブリッド技術e-POWER搭載車を拡充、電動車両のラインナップを積極的に展開

講演の冒頭では、「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける。」という日産のコーポレートパーパスを紹介。
田川氏は同社のチーフサステナビリティオフィサーとして、よりクリーンで、より安全で、よりインクルーシブな社会の実現に向けたさまざまな取り組みを牽引されています。

コーポレートパーパスと「Nissan Ambition 2030」についての解説

1つ目の目標「よりクリーンな社会」に関しては、「2050年までにクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルの実現」を目指しているとの説明が。
日産自動車(株)はこれまでも、世界で初めて量産型EV(リーフ)を販売するなど、カーボンニュートラルにつながるさまざまな取り組みを進めてきました。
さらに、「2030年代早期より、主要市場で投入する新型車をすべて電動車両にする」とし、企業活動からのCO2低減促進や、材料・部品サプライヤーからのCO2低減に向けた協業等、ゼロエミッション社会の実現に向けたEVポテンシャル最大化へチャレンジするビジョンを示しました。
さらに、EVバッテリーの再利用による希少資源の使用の低減や、アルミ材のクローズドループリサイクルの実施等、CO2排出だけでなく新規資源への依存を低減する、サーキュラーエコノミーの実現を目指して具体的な活動を始めていることもお話しいただきました。

カーボンニュートラルの実現に向けて日産が取り組んできた事例の紹介

2つ目の目標「より安全な社会」に関しては、ゼロフェイタリティ(日産車がかかわる交通死亡事故者数の実質ゼロ)の実現を目指し、衝突安全、予防安全の性能の向上に力を入れているとのこと。
なかでも、走行中に起こりうるさまざまな状況を想定し、高度な緊急回避制御を行う運転支援技術に注力しているとの説明があり、その成果である最新の“Ground truth perception 技術”について解説いただきました。

“Ground truth perception 技術”の開発により、緊急回避性能が飛躍的に向上。

3つ目の目標「よりインクルーシブな社会」に関しては、従業員の健康・安全を守るとともに、サプライヤーを含めた働く人々の人権問題にも配慮していることを説明。
ダイバーシティ&インクルージョンの面では、Equity(公平)の考え方のもと、性別や国籍、年齢などを問わず誰もが活躍できる組織を目指しているそうです。
さらに、国内外での地域貢献にも積極的に取り組んでいるというお話がありました。

会場で受講した文京学院大学の学生(壇上右)が田川氏に質問する様子

CDPでリーダーシップのスコアを継続して獲得、国連が支援するRace to Zeroキャンペーンに公式に参加する初の日系自動車メーカーとなるなど、高い評価を得ている日産自動車(株)のサステナビリティ活動。
その根底には、人や環境を大切に想うウェルビーイング思考があることが伝わってくる講演でした。
会場で受講した学生たちも熱心に聞き入り、講演後には活発な質疑応答が行われました。