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日本における「見えない貧困」とは。(一社)グラミン日本理事長が現代経営学部でゲスト講義

産官学連携,現代経営

2023.01.25

12/23(金)、現代経営学部の「アントレプレナーシップゼミ」(石黒順子准教授)のゲストとして、一般社団法人グラミン日本 理事長・CEOの百野公裕氏と同理事・COOの中川理恵氏が来学。
貧困層の自立支援に取り組む「グラミン銀行」の活動と、その背景にある貧困問題についてご講演いただきました。

(一社)グラミン日本は、1983年にバングラデシュで設立されたマイクロファイナンス機関、グラミン銀行の日本版です。
グラミン銀行は、貧困や生活に困窮する人々、女性の自立を支援するために低金利・無担保での少額融資を行っており、2006年にはノーベル平和賞を受賞。
ソーシャルビジネス分野で高い注目を集めている機関です。

今回の講演は「コロナ禍で深刻化する日本の貧困~私たちにできることを考える~」というテーマで、日本における「見えない貧困」の現状と、グラミン日本の取り組みについてお話しいただきました。

百野公裕氏

講演には石黒ゼミの3年生に加えて、現代経営学部の1年生(「基礎英語」の山内香代子専任講師担当クラス)も出席。
講演の合間には学年を超えたディスカッションの時間も設けられ、「日本は貧困が多い国だと初めて知って、身近な問題なのかなと思った」「貧困問題は全て同じだと考えていたが、日本と海外で貧困は違うという認識をすることができた」など、特に1年生にとっては日本の貧困問題について改めて現状を認識するきっかけになったようです。
一方で、3年生からは「(日本の貧困について)諸外国に比べると支援が少なく、一度でも貧困に陥ると復帰が難しそうだと感じた」といった声や、相対的貧困や女性の非正規雇用問題に対する長期的な取り組みの必要性を訴える感想が多く聞かれました。

グループでディスカッションした内容を全体で共有

今回の講演では、実際にグラミン日本の支援を受けて就労・起業を行うなど経済的自立を果たした女性たちの事例紹介も。
具体例を通じ、マイクロファイナンスやソーシャルビジネスがどのように貧困問題の解決に寄与しているかの理解を深めました。

中川理恵氏が困窮状態から抜け出す難しさと自立支援について解説

担当教員 石黒准教授のコメント:
今回のご講演後、学生からは、「貧困問題は海外だけの話ではないことに驚いた」(3年女子)、「自分ももっとこのような問題に目を向けなければいけない」(1年男子)、「起業や就労によって貧困や生活困窮から脱却し自立するのを支援することで、スタートが違ったとしてもそこから後押ししてあげれる素晴らしい取り組みだ」(3年男子)というような感想が寄せられました。このように社会問題に関心を持つ機会を与えてくださったグラミン日本の百野理事長、中川理事に改めて御礼を申し上げます。
新事業開発ゼミでは、新しいビジネスを立ち上げることで社会に新しい価値をもたらすことを研究しています。さらに今回は、起業活動が貧困の脱却にもつながるという、起業の新しい側面にも触れることができました。これを契機に、社会起業(ソーシャルアントレプレナーシップ)にも目を向けていきたいです。