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メンズ化粧品市場の「常識」を疑い、突破口を見出す!!本庄ゼミが迫力ある最終報告会を企業に向けて実施

産官学連携,現代経営

2024.01.12

12/11(月)、現代経営学部「マーケティング戦略・プロジェクトマネジメントゼミ」(本庄加代子教授)で、3年生による産学連携プロジェクト「日韓比較調査による、メンズ化粧品市場における普及の課題とマーケティング提案」の最終報告会を実施。
化粧品開発のエキスパート「COSMEL」に対し、日本と韓国で行ったグループインタビュー結果を定性分析し、メンズ化粧品普及の課題と考察、Z世代市場拡大に向けたビジネスアイデアを発表しました。
ゼミ生たちは市場拡大への課題の特定とマーケティング戦略をZ世代ならではの、リアルな消費者像の描写にもとづき提案を行い、これまでの「常識」を覆す示唆に企業側からもため息が漏れるほど。
今回は、学生たちが思考と創造力を研ぎ澄ませ臨んだ最終報告会の様子を、一足早くお見せします。

これまでの本庄ゼミの取り組みはこちら
Z世代のメンズ化粧品プロジェクト:本庄ゼミが日韓比較調査に挑む!【前編】

本庄ゼミでは、7月に日本、9月に韓国でZ世代に対する大規模なグループインタビューを実施しました。
学生たちは約8カ月かけて市場構造の分析から仮説の導出、消費者行動論に基づく綿密な調査設計を行い、リアルなビジネス現場さながらのマーケティングリサーチを展開。
調査実施だけではなく、韓国における協力機関を見つけ出し、交渉と調査オペレーションまで学生たち自身がチームで協力しながら実施しました。

韓国での調査

帰国後、リサーチの分析とりまとめはもちろん、そこから論理的に結論を皆で考察し洗練させてきた本庄ゼミ。
その中で、学生たちは、知力・体力・思考力・創造力・協業力といったあらゆる力を磨き、大きな成長を遂げていきました。
最終発表会当日は3チームが登壇し、日韓調査結果の統一のデータソースに基づき、それぞれが全く異なる角度での洞察し、メンズ化粧品市場拡大への突破口と提案を披露しました。

左から田中巌学部長、韓国での調査実現にご協力いただいた学生保護者、本学キャリアセンター部長、COSMELの白野未来氏、白野実氏

厚いデータに基づき、確たる自信をもってプレゼンに臨む学生たち(右プレゼンター:稲村伊織さん)

発表は、韓国でのグループインタビューを通じ、渡韓前の仮説6つのうち5つが否定され、「韓国の人たちの内的な美容意識は我々と変わらず、実態は日本人が想像するほどの『美容大国』ではなかった」という衝撃的な考察を提示した女子3人のチームからスタート。

横堀伶美さん、木村桃夏さん、柴田珠莉愛さん

現地の市場規模、整形事情、紫外線問題、兵役の影響、日本とのジェンダーレス感覚の違いなどの外的要因を調べ上げ、韓国Z世代の美容意識と市場の現状について新たな知見を示しました。

白野氏との活発な質疑応答も

続いてのチームは、リサーチ結果を「普及理論」に基づいて分析。低関与層・高関与層それぞれの声を丁寧に拾い、Z世代男子に対する化粧品普及の「壁」を可視化しました。その結論として、「現市場の普及段階においては、SNSなどのインフルエンサーよりも、身近な友人・知人からの五感を使った対面影響力」の方が強いと示唆を導出しました。

石澤優太さん、龍興克典さん、坂田聖南さん、小澤葵さん、佐藤未彩さん

分析結果をベースに、今後の施策として、低関与層にとってのハードルが低い「眉毛」の身だしなみと「(オンラインではなく)対面コミュニケーション」による知識の敷衍・普及に着目した提案を行いました。

Z世代の観察から導いたインサイトを語る坂田聖南さん(右)

3チーム目は、消費者行動における利用の落ち込みから、「スキンケアの習慣化」を普及のカギと特定。「化粧品=女性」のカテゴリーイメージを超え、「肌磨き」としてリポジショニングする有効性を提案。

櫻井華さん、稲村伊織さん、川口陽さん、小澤美裕さん、リーダーの石川大翔さん

発表ではそれらの分析結果と共に、大学の就職活動に関連づけた「肌磨き」の機会作りによるメイク普及の戦略を提案しました。

Z世代当事者である川口さんの提案に身を乗り出す白野氏

発表終了後には、COSMEL白野氏らに加え、田中学部長、本学キャリアセンターや広報室職員からも、「十分にビジネスで通用するレベル。非常に市場拡大へのマーケティングへの大きな示唆となる。大学生の発表とは思えない」という高い評価の声が。
そのような大きな成果を得て、達成感に感極まる学生たちの様子が見られました。

学生たちは、発表3日前まで、仮説検証のための追加の定量調査を実施したり、直前まで資料の手直しをしたりしていました。
学生たちが最も恐れていた評価は、社会人から「大学生としては、上手くできたね。頑張ったね。」というコメントが返ってくることでした。
結果は、「実際のマーケティング会社からの提案よりも、ファクトフルで論理的で発想力に富む、優れた発表で、実践に非常に有益だった」という、驚きの評価につながりました。

長きにわたり、ゼミ長としてチームを率いた龍興克典さん

終了後、達成感でハイタッチを行う学生たち

本庄加代子教授とゼミ長の龍興克典さん、リーダーの石川大翔さん、洞察力の高い坂田聖南さん

本庄教授のコメント:
本庄ゼミでは、「大海を泳ぐ力」という指針に基づき、社会人として自ら考え、創造し、行動する力を備える教育を行っています。プロジェクトが終了した今、学生たちは大きな自信をもち、社会へ旅立つ準備が供えられたと感じております。当初、学生たちの提案で「メンズ化粧品市場のマーケティングを日韓比較で行いたい」と聞いた時は、そのプロジェクトマネジメントの大きさを想像するだけで、私自身がひるみました。最後のゴールまで、数か月で辿りつけるのかを大変不安に思っていましたが、見事にプロジェクトをやり遂げてくれた学生たちを大変誇りに思います。