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映像作家・保山耕一氏が語る、奈良と中国の文化交流における「鑑真和上」の存在とは

グロコミ

2024.07.10

6/24(月)、グローバル・コミュニケーション学科「専門基礎演習A」(成寅教授)で、映像作家・フリーランステレビカメラマンの保山耕一氏をゲストに迎えて講義を実施。
奈良県在住でNHK BS4Kチャンネルの『やまとの季節 二十四節気』などを手掛ける保山氏に、奈良の人々が持つ日中文化交流の歴史観や、中国の日本文化への貢献についてお話しいただきました。

冒頭、「奈良の人々は、中国との関係性において、奈良時代から今まで中国に対して感謝し続けている」と語った保山氏。
奈良の美しい風景も奈良時代から続く日本の文化も、中国との交流の歴史の中で生まれたものという認識がその理由であると語りました。

人気番組『世界遺産』のカメラマンも務めていた保山氏

さらに、奈良で今も続く中国への感謝は、高僧「鑑真和上」への感謝と尊敬から起因していると続け、講義では鑑真の残した功績と教えについて解説。
5回の渡航失敗を乗り越え、盲目になりながらも日本へ渡った鑑真は、仏教の教えだけでなく、建築、薬草など今も日本文化の礎になっている様々なものを伝えたと語りました。

また、「劫」という奈良時代以前には日本にはなかった、「人の生を超えた時間の概念」までも伝えた、鑑真のスケールの大きさについても言及。
鑑真は先を見据えることと同時に、足元を見つめることも重要視していたと語り、人に求められる人物になるには近道はなく、コツコツと努力することが大切だと学生たちにメッセージを送りました。

熱心にメモを取りながら授業を聞く学生たち

その後、保山氏が「撮れたのは奇跡」と語る、講義直前に撮影したという三笠山(若草山)の雲海の映像を上映。
学生たちは、保山氏の語る重みのある人生観に耳を傾けながら、幻想的な映像を食い入るように厳粛な面持ちで見入っていました。

奈良の美しい情景に1000年以上も続く日中交流への思いを馳せるひと時

成教授は、「今回は奈良と中国の文化交流についてだけでなく、保山氏の人生観までお話いただけた。これは大変貴重な体験であり、学生にとって将来に生かされると信じている」と述べ、保山氏への深い感謝をもって講義を締めくくりました。