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教育・研究
[現代経営研究会]第4回を開催。Orbray株式会社の代表が取り組む「ひと」が主役の経営改革とは?
2024.12.03
さまざまな業界・企業の経営者をお招きし、現代社会を読み解くヒントを学ぶ「現代経営研究会」。
第17期となる今期は、「結ぶチカラ」を年間テーマとし、全5回すべて対面・オンラインでの併催を予定しています。
11/20(水)に行われた第4回講演には、Orbray株式会社 代表取締役社長の並木里也子氏を迎え、「未来を築くサステナブルな企業」という演題でご講演いただきました。
Orbray株式会社は、工業用宝石の精密加工を得意とし、光通信部品や小型モーターなどを製造・販売しているメーカー。東京都足立区に本社を、秋田県湯沢市にマザー工場を構えています。「宝石加工技術を秋田の地場産業へ」を合言葉に、地域に特化したブランディングにも力を入れ、2023年には新工場Orbray [TRAD]を秋田県湯沢市に開設しました。
そんなOrbray株式会社の創業家3代目である並木氏。講演は、自身の経歴紹介からスタートしました。NYで生まれ、東京で育ち、大学では児童教育を専攻。スノーボード選手としてW杯出場を果たすなど活躍した後、主婦となり3人の子どもを育て、2020年にアダマンド並木精密宝石株式会社(現・Orbray株式会社)に入社されたそうです。そして翌2021年、会社経営の経験がないまま社長に就任したというユニークな経歴をお話しくださいました。
並木氏が社長に就任した当時、会社は高い技術が評価されながらも業績が低迷していたそうです。そこで取り組んだのが、「構造改革は行わず、社員の内なるマインドやモチベーションを高めることで業績のV字回復を目指す」というチャレンジ。まずは家族同然の存在である1,000人の社員との絆を深め、モチベーションを高めるために、全員にバースデーカードを手渡したり、面談を実施したとのこと。そして、「社員が誇りを持って働ける会社にするため、地方に特化した広報活動やブランディングも行った」とのお話がありました。
「ものづくりはひとづくり」をキーワードに、さまざまな取り組みを行ってきた並木氏。「どうすれば『ひとづくりをサステナブルに行うことができるか』をずっと考えてきた」とのこと。そして、たどりついたのが“学校”を作るというアイデア。「Orbray Academy」という社内研修チームを立ち上げ、社会人になっても学び続けられる仕組みを作りました。同チームでは、秋田県と連携し、女性活躍推進に向けた地域セミナーの実施なども計画しているそうです。
並木氏は最後に、「工場のある秋田県は若者の県外流出が多く、さまざまな課題を抱える地域。もし、この秋田県を変えることができたら、日本も変わるのではないか。そこから世界も変えていけるのではないか。そんなことを思いながら『サステナブルなひとづくり』に取り組んでいる」と語りました。
講演後は、会社の新人研修で行ったというリフレーミングワークを会場の参加者が体験する時間が設けられ、続いて質疑応答へ。参加者から多くの質問が寄せられ、丁寧にお答えいただきました。
今期最終回となる次回の現代経営研究会は12/4(水)に開催。パナソニックコネクト株式会社 代表取締役 執行役員 プレジデントの樋口泰行氏を迎え、「未来に“つなぐ”価値創造~伝統的日本企業における変革の要諦~」という演題で講演いただきます。
詳細・受講のお申込み(事前登録制)は以下リンク先にてご確認ください。
https://www.tyg.jp/koukaikouza/business/index.html