Academic Life & Research
教育・研究
【第3回公開講座】サイバー文明の到来。AI時代に私たちが創るべき社会とは
2026.07.24
東洋学園大学では、最先端の研究を地域社会に還元するために、幅広い教養(リベラルアーツ)を学ぶ「公開講座」を毎年開催しております。
6/27(土)に開催された第3回は、日本におけるインターネット社会をけん引されてきた國領二郎氏を招聘。現在、國領氏は慶應義塾大学名誉教授であり、共愛学園前橋国際大学副学長、デジタル共創研究センター長を務められています。


國領二郎氏(左)と司会の本庄加代子教授(右)
台風のためにオンライン講演に切り替わりましたが、約200名が聴講。司会は、親交の深い本学の教授・本庄加代子が担当し、温かなやり取りと同時に、率直な疑問を投げかける活発な講演となりました。
講演は「多くの人がAIに対して一種の恐れや関心を抱いているのではないか。」に投げかけから始められました。
國領氏は、我々の不安は、既存の社会構造の中にAIが入ってくる違和感であり、これまでの常識を覆す威力にあるが、現在はAIを前提とした新しい文明への過渡期であり、長期的にはテクノロジーを織り込こんだ理想的な社会を構想することが重要であることを強調しました。AI時代とは、モノの交換による価値の増大から、情報が他と結合することで価値が増大するパラダイムにあり、現在は、産業革命以来の社会・経済構造を根本から変える「文明レベルの転換点」であると主張しています。

ここでは、格差拡大・主権問題・責任の所在という三つの論点を中心に、「奪い合う工業文明から、分け合い、共助するサイバー文明へ」のパラダイム転換の必要性あることを強調。その実現のためには、利他主義という倫理基盤のもと、それぞれの助け合いの貢献に対してNFTバッジ等でレコグニションを返す仕組みが有効 としています。

そのためには、単にテクノロジーの進化だけを追うのではなく、倫理まで遡った新発想が重要で、個人主義的な考え方から「利他主義」へと、我々の共助の精神性に支えられる「持ち寄り経済」が一つのカギであることを主張されています。

ただし、そのパラダイム変化の中で、AIを利用した好戦的な動きや貧富の格差の拡大や非人道的な動きなど世界的リスクが増大している側面もあることも指摘。我々はそのような過渡期の中にいることをもっと意識し、どうありたいのかを議論し考える必要があることを強調されました。
講義の中盤では、司会である本庄教授が参加者から寄せられた質問を紹介する形での質疑応答を実施。「「スーパーコンピュータとAIの違いは?」「AIに特化した法律などの専門家が必要ではないか」といった率直な質問にも一つひとつ丁寧にご回答いただきました。
「この先、生き残る業種は?」という質問に対しては、本庄教授から「エッセンシャルワーカーやブルーワーカーなど、デジタルではない、アナログな職種ですか?」との問いに、「短期的にそうだが、そのような仕事も将来的には、ロボット(AI)ができてしまう未来が近づいている」と回答。 必ずしも、人間の感情労働や肉体労働が生き残るわけではないという見解に、改めて、AI時代の文明社会のあり方を見つめ直す貴重な機会となりました。
講義終盤には、群馬県前橋市と國領氏が取り組む「前橋モデル」の紹介も。
所属する共愛学園前橋国際大学を研究・教育拠点として、AI社会が抱える課題を解決する技術的基盤を前橋市で構築しようとしていると説明し、「共助」の倫理による社会を、テクノロジーを介して実現したいという熱い想いを語っていただき、講義を終えました。
次回の公開講座は7/25(土)に開催。
最終回となる第6回は、「日本と世界の政治を『見える化』する―これまでとこれから―」と題し、本学の辻中豊学長(元日本政治学会理事長、筑波大学名誉教授)が講演します。
対面・オンライン併催、要事前申込み(無料)。ぜひご参加ください。
https://www.tyg.jp/koukaikouza/k-kouza/index.html#h06