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教育・研究
特別講座「ポストコロナの世界とアジア」第12回報告:過去から現在までのベトナムと中国の関係を紐解く
2020.12.15
一般財団法人ユーラシア財団 from Asiaの助成による特別講座「ポストコロナの世界とアジア―アジア共同体への新しい可能性」第12回講座を12/11(金)に開催。
「ベトナムの対中関係の行方」というテーマで、東京外国語大学教授 栗原浩英氏にご講演いただきました。


東京外国語大学教授 栗原浩英氏
講義ではまず、紀元前214年から現在に至るまで続く、ベトナムと中国の歴史的な関係について解説。
アルファベットで表記されるベトナム語ですが、実は起源を中国の漢語に持つ語彙も多く、同じく漢語由来の語彙を持つ日本語と似た発音の言葉もあるのだとか。
現在でも、中国とベトナムはお互いに貿易相手国としての存在感が強く、また2019年にベトナムを訪れた外国人の三分の一を中国人が占めるなど、共産主義という政治的な側面だけでなく文化的・経済的な側面からもベトナム・中国間の関係の深さについて教えていただきました。

一方で、21世紀に入って表面化してきたというベトナム国民の反中国感情についても解説。
中越十年戦争、陸上国境といった国家間の問題に加え、中国への配慮が目立つ一方で「人民」に対する説明が不足しがちだというベトナム共産党の古い考え方に対する国民の反発心、SNSの普及によって個人が情報収集・発信できる環境ができたことなど、外交問題にとどまらない様々な要因が絡まりあっている状況を分かりやすくお話しいただきました。
講演後にはアメリカやヨーロッパ、日本との関係についての質問なども寄せられ、ベトナムと中国の関係から日中関係を考えるヒントにもなったのではないでしょうか。
本講座は2021/1/8(金)まで、1/1(金)を除く毎週金曜日の13:00~14:30にZoomウェビナーによるオンライン講座として開講。
次回は12/18(金)、テーマは「墨絵の世界」(講師:画家 馬艶氏)です。
一般の方々は無料で受講可能ですので、以下URLより事前登録の上、ふるってご参加ください。