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教育・研究

[公開講座]アフリカにおけるCOVID-19対策の現状を解説。次回は6/12(土)

お知らせ

2021.06.09

学問領域にとらわれない幅広い教養(リベラルアーツ)を一流の講師に学べる「2021年度東洋学園大学 公開講座」、第5回を6/5(土)にオンラインで実施。
今回は「コロナ時代のアフリカと医療」というテーマで、ナイジェリアでの調査・研究経験が豊富なグローバル・コミュニケーション学部の玉井隆専任講師が登壇しました。

玉井専任講師

 

玉井講師は2010年からアフリカのナイジェリアで調査・研究を続け、日本大使館の専門調査員の経験を持つほか、現在はNPO法人アフリカ日本協議会共同代表理事を務めています。
今回の講義では、実際にナイジェリアで行われている新型コロナウイルス感染症対策を紹介しつつ、アフリカの動向を解説しました。

アフリカは、病床数や医薬品、人材、保険財政などが圧倒的に不足しているという事実から、当初は30万~330万人という新型コロナウイルス感染症での死者数が予想されていました。
しかし実際は本年5月末時点で8万7000人程度と、死者数が100万人を超えているアメリカやヨーロッパ、40万人を超えた南東アジア圏と比べて非常に少ない人数に留まっています。

その理由を探るべく、人口約2千万人という大都市を有するナイジェリアの例を紹介。
「大統領タスクフォース」と、「ナイジェリア疾病管理予防センター(NCDC)」の2機関をいち早く設置し、公衆衛生勧告による早期の水際対策など、過去の感染症対策における知見や人材の活用、接触者の追跡・情報提供網として、住民登録が未整備な地域で全ての子どもにワクチンを接種するために構築された「ポリオインフラ」と、そこで活躍するコミュニティーヘルスワーカーの活躍について、2017年に玉井講師自身が現地で撮影した映像や写真を交えて解説しました。

また、アフリカにおけるワクチンや医療資材の供給が遅れる問題について、多国間協調によって全世界の人々に対する平等・公平な医療アクセスを確保するためにWHOや欧州連合等の主導で設立された「ACTアクセラレーター」等の機関を紹介。
一方で、先進国の政治動向やグローバル製薬企業による知的財産権の占有、資金不足、ワクチン・ナショナリズムといった問題とその背景、問題解決に向けたNGOの取り組み等についても詳しく解説を行いました。

講義後には、参加者からチャットで寄せられた「現地で活動する人々の様子」「各国の水際対策」「中国のワクチン外交」「NGOの活動状況」など様々な質問に回答。

小学5年生からの「将来は困っている人を助ける医師になりたいので参考になりました」という大変嬉しいコメントも届きました。

 

次回は6/12(土)、「魅惑の低音楽器~コントラバス講座」というテーマで、NHK交響楽団のコントラバス奏者で桐朋学園大学准教授の市川雅典氏が講演します。

ぜひ奮ってご参加ください。

公開講座