Academic Life & Research
教育・研究
スラバヤ大学准教授に聞くコロナ禍におけるインドネシアの経済対策
2021.10.13
10/8(金)、国際交流センターの国際交流特別企画として、インドネシアのスラバヤ大学経済経営学部のWerner Ria Murhadi(ヴェルナー・リア・ムルハディ)准教授によるオンライン講演会を開催。
「インドネシア経済:パンデミックにどう対処しているか?」というテーマで、インドネシアにおけるコロナ対策と経済活動維持の両立政策について、最新の知見をお話しいただきました。

パンデミックが始まって以来、IECでは学生の留学へのモチベーションを維持するために、さまざまなオンラインイベントを開催してきました。同センターでは、異文化間の留学生交流イベントやオンラインゲストレクチャーなど、新しいオンラインイベントを提供しています。今回は、海外からゲスト講師をお招きすることができました。講義に先立ち、国際交流センター長であるSarah Louisa Birchley教授が開会の挨拶をしました。Birchley教授は、「このイベントが開催できて嬉しい」と述べ、このイベントを開催したスラバヤ大学と主催者のセンター所属の隈本教授に感謝の意を表しました。

Murhadi准教授によるオンライン講演はすべて英語で進行。
非英語圏である日本の学生・教職員が理解しやすいよう、ゆっくりとお話しいただくなどのご配慮をいただきました。
講演の冒頭、まずは私たちの暮らしや経済活動に与える様々な外部環境要因について説明。今後想定される世界的な外部環境リスクのひとつが、新型コロナウイルス感染症のような疫病であり、このコロナや世界の経済社会情勢の変化(米国の利上げ、中国の資産バブル崩壊危機、南シナ海問題、地球温暖化等)によって、インドネシア経済が多大な影響を受けていることを解説いただきました。

インドネシアのスラバヤ大学経済経営学部のWerner Ria Murhadi准教授
次は、いよいよ本題である、インドネシアにおける新型コロナウイルス感染症の現状と経済対策について。
これまでの累計感染者数が422万人、死亡者数が14.2万人、9/26(日)時点での1日の新規感染者数が1760人という状況とのことです。
人口世界第4位のインドネシアは多数の貧困層を抱えており、財政赤字に悩む政府はわずかな所得で暮らす大多数の国民の生活を補償できないため、ロックダウンは行われていないとのこと。
その代わりとして、2020年4月に大規模社会的制限(PSBB)を導入し、感染拡大の抑制と経済活動の維持の両立を図った結果、2020年の経済成長率はマイナス2.1%となったものの、フィリピンやタイといった他のASEAN諸国よりもマイナス幅を抑える結果となったそうです。
その後、2021年夏には日本と同じようにデルタ株による感染拡大が発生。
しかし、国民のワクチン接種率の増加(21年9月末時点で約30%)も相まって徐々に経済回復の兆しが見えてきているそうで、「2021年の景況感を示す各種指標も上向いており、政府の『国家経済復興プログラム』による財政出動の効果がこれから期待できる」と、最新情報に基づいた今後の展望をお話しいただきました。

最後に、今後のインドネシア経済の強い回復のために何が必要かを解説。
Murhadi准教授の見解として、ワクチン接種率のさらなる向上、マスク着用や社会的距離の確保といった国民の努力、政府の強い財政政策や中小零細事業者支援、そしてデジタル化の推進といった項目を示していただき、講演は終了となりました。
講演の質疑応答では、「コロナ禍で日本とインドネシアとの間で何か協力があったか」「インドネシアの大学生、特に4年生の就職にはどのような影響があったか」という質問が。
インドネシアには多くの日本からの投資が入っていること、また、卒業後の起業家育成にかかわる公的政策や大学のプログラムがあることをお話しいただきました。
また、バリ島やロンボク島など日本人にもなじみのある観光地の写真もご紹介いただき、参加学生らが談笑する様子も。
インドネシアの最新事情について、様々な角度から学びを深める機会となりました。