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八塩ゼミが「クラシック音楽ホール」のマーケティングに挑む!【前編】
2023.01.27
東京のど真ん中にキャンパスを構えるTOGAKUでは、その立地を活かした学びを各学部が行っています。 なかでも「生きたビジネス」を扱う現代経営学部にとって、都心は研究材料の宝庫。周辺に実在する企業・団体とつながりを持ち、研究に活かしているゼミもたくさんあります。今回はその中から、「マーケティングとメディア研究ゼミ」(八塩圭子教授)の取り組みをご紹介。2022年度に行われた「横浜みなとみらいホール」との産学連携プロジェクトの様子を前編・後編にわたってお伝えします!
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今回のプロジェクトのテーマ
毎年さまざまな産学連携プロジェクトに取り組んでいる八塩ゼミ。2022年度は、今までと少し視点を変えて「アートビジネス」と初コラボが実現しました。クラシック音楽専門ホールである「横浜みなとみらいホール(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)」と連携することになりました。
「横浜みなとみらいホール」は、2022年10月にリニューアルオープンを控えていたため、プロジェクトのテーマは「ホールのリニューアルオープンを盛り上げ、軌道にのせるためのマーケティング戦略提案」に決定。
参加するのは八塩ゼミの3年生で、彼らの得意分野である「SDGsの視点」と「大学生ならではの強み」も盛り込んだマーケティング戦略を立てることに。
ところで、日本でアートが「産業」と捉えられるようになったのはごく最近のことで、この分野のマーケティング研究は始まったばかり。
なかでもクラシック音楽産業は、安定してコアなファンに支えられてきたため、これまでマーケティング戦略がほとんど練られてきませんでした。そんな未開拓のジャンルゆえ、挑戦しがいがありそうです。
ゼミ生たちはまず、マーケティングの対象である「横浜みなとみらいホール」について知ることからスタート。
5月のキックオフでは、同ホールの新井鷗子館長やチーフプロデューサーの菊地健一氏、広報担当氏伊藤啓太氏を授業に招き、ホールの特性や客層、過去の取り組みなどを解説いただきました。
キックオフの様子はこちら
その後は4チームに分かれ、チームごとに企画のテーマや具体的な内容を詰めていくことに。
「この企画で本当に『リニューアルオープンを盛り上げ、軌道にのせる』という目的を達成できるか?」「SDGsの視点は入っているか?」「学生の強みを活かせているか?」「説得力は保てているか?」などを何度も話し合い、検証しました。
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中間発表で企画をプレゼン
ゼミ生たちにとって、最初に突破しなければならない関門が7月末に行われる中間発表。
「横浜みなとみらいホール」の関係者を招き、企画アイデアをプレゼンします。
その中間発表を前に、先輩が前年のプレゼンの様子を再現してくれることに。それを見たゼミ生たちは、「自分たちももっとがんばらなくては!」と刺激を受けた様子。
同時に、「説得力を高めるにはアンケート調査に基づく分析が不可欠」「伝えたいことをキーワード化するとわかりやすい」などの学びを得たようで、さっそく自分たちのプレゼン資料作りに取り入れました。
クラシック音楽への理解を深めるために、忙しいスケジュールの合間を縫ってコンサート鑑賞に出かけたりもしながら、中間発表への準備を進めてきたゼミ生たち。
7月半ばには先輩の前でプレプレゼンを行い、改善点を指摘してもらって、さらに精度を高めました。
そして、ついに迎えた中間発表の日。4チームそれぞれが練りに練ったアイデアを発表しました。各チームのプレゼンの概要は、
①映えスポットを活用したSNSマーケティング戦略
②母娘2世代をターゲットにしたコンサート企画
③マスコットキャラクターを利用したSNS戦略
④若者がホールの雰囲気を気軽に味わえるイベント提案
というものでした。
当日は「横浜みなとみらいホール」の館長らがご参加くださり、「客観的な分析に基づいた具体的なアイデアに大きな感銘を受けた」「若い人たちの柔軟な発想に大変刺激を受けた」「ぜひ、全チームのアイデアを活かしていきたい」などの高い評価をいただきました。
また、ゼミ生自身も「春学期最後の授業で各チームすばらしいプレゼンができて、最高の締めくくりになった」「各チームの色が出ていてとても良い発表だった」と満足のいく内容だったようです。
中間発表の様子はこちら
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八塩ゼミの産学連携プロジェクトとは?
今回の「横浜みなとみらいホール」との連携をはじめ、八塩ゼミではこれまでも、都心という立地を活かした産学連携プロジェクトを積極的に実施してきました。
過去には、有機ELテレビを手掛ける「LG エレクトロニクス・ジャパン株式会社」やカップヌードルでおなじみの「日清食品株式会社」、二子玉川ライズ・ショッピングセンターなどを運営する「株式会社東急モールズデベロップメント」、東京のローカルテレビ局「東京メトロポリタンテレビジョン株式会社(TOKYO MX)」とのコラボ実績も。
一つのプロジェクトに対して、取り組む期間は約半年。企業の方へのインタビューや現地視察、ユーザーにアンケートを取るといった「調査」に始まり、そこから洗い出された課題に対して「解決策を提案」し、その提案を「実践」していきます。こうしたプロセスを通じて、マーケティングの一連の流れを体感的に学べるうえ、社会人として求められるプレゼン能力やコミュニケーション力も自然と磨くことができます。
事実、過去のゼミ生からは「自分の成長につながった」という声が多数聞かれました。
今回の「横浜みなとみらいホール」とのプロジェクトも、ゼミ生にとって大きな学びの機会となることでしょう。
後編では、中間発表で提案したアイデアを形にしていく「実践」のステップを詳しくレポートします!