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郊外都市発展のために必要な視点とは。特別講座「未来は共に創る」第8回

地域間連携

2023.11.15

本学では、一般社団法人ユーラシア財団from Asia助成による特別講座を開講しています。
今年は「未来は共に創る――アジア共同体の新しい地平線」という全体テーマのもと、アジアの諸問題に関する専門家や有識者を講師として招へい。

11/9(木)に開催された第8回の講義テーマは「東京、NY、上海の鉄道と郊外都市づくり」。
講師としてNPOフォーラム自治研究理事長の嶋津隆文氏にご登壇いただきました。

嶋津氏は、大学卒業後に東京都庁へ入庁し、長年にわたって企画・国際・文化分野から行政運営に携わってきました。
これまでのご経験と、各国都市の歴史や移り変わりへの深い知見を活かし、嶋津氏から東京・ニューヨーク・中国の鉄道と郊外都市発展の関係についてお話いただきました。

嶋津氏

嶋津氏は冒頭、「東京と上海という巨大都市同士が人口や産業、大学をいかに分散するか」に注力してきたことを挙げ、二つの都市の郊外都市計画の歴史を比較。
人口一極集中や少子高齢化、家賃高騰などの問題を抱える中国・上海の金山区に言及し、「鉄道の利便性を上げ、結果として都心人口が移動して発展を遂げた日本の多摩エリアが参考にされている」と紹介しました。

続いて、嶋津氏は日本の田園都市や学園都市構想の歴史を紹介し、さらにニューヨークの鉄道開発とそれに伴う郊外都市の発展についても説明。
「日本の田園都市は鉄道を介したベッドタウンとして開発され、鉄道開発と沿線開発を一体化させてきた」と、日本の高級住宅街となっている田園調布などの郊外都市を例に挙げて解説しました。
また、「ニューヨークでは通勤に電車を使用する人は2%程度しかいないが、通勤鉄道自体は広範で、中でも郊外では高級感ある人気の住宅街を形成している例もある」と、鉄道と郊外都市発展の関係を述べました。

最後に、「“都市づくりは100年の計”、しかしバランスも必要である」と嶋津氏。
「郊外都市を発展させるには、業務機能や住環境の整備だけでなくきめ細かい交通網や昼夜の生活の利便性など、“郊外を発展させようとする政策の遂行”と“そこに住む人々の日常のニーズをくみ上げること”、2つの視点が必要なのではないか」と述べ、講義を締めました。

質疑応答では受講者との活発な意見交換が

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