Academic Life & Research
教育・研究
戦争の時代に考える「避戦と非戦」の安全保障。特別講座「未曽有の大変局のなかでアジア共同体の未来を語る」第2回
2024.10.09
本学では、一般財団法人ユーラシア財団from Asia助成による特別講座を開講しています。
今年は「未曽有の大変局のなかでアジア共同体の未来を語る」という全体テーマのもと、アジアの諸問題に関する専門家や有識者を講師として招へい。
全15回を予定しています。
9/26(木)に開催された第2回は、講師として特定非営利活動法人 国際地政学研究所(IGIJ)理事長、元内閣官房副長官補・防衛庁運用局長の柳澤協二氏にご登壇いただきました。

今回の講義テーマは「避戦・非戦の安全保障」。
歴代内閣の安全保障・危機管理関係の実務を担当してきた柳澤氏に、「戦争とは何か」「なぜ起きるのか」を紐解きながら、戦争の時代となった現代における、避戦・非戦の安全保障についてお話しいただきました。
講義前半、柳澤氏は「戦争とは何か」を考えるとき、戦争の本質の中に戦争を避ける要因があると言及。
「戦争以外での政治目的の達成手段を考える」「意見の違う相手を許容する」「危機に煽られない国民理性を持ち合わせる」などの戦争の「避け方」、さらには「戦争の終わり方」の重要性について語りました。

柳澤氏
さらに、現在の世界情勢について、「ウクライナ戦争」「ガザ地区の戦争」の原因と教訓について解説。
非戦の国際世論が高まっているにも関わらず、始まった戦争を終わらせるには容易ではないこと、価値観を押し付ける大国の対立そのものが最大の戦争要因と考察しました。

講義後半は、台湾有事や北朝鮮の脅威について語り、日本で起きている戦争論、抑止論に対し警鐘を鳴らすとともに、「戦争の動機を減退させる『安心供与』の必要性」についての見解を示した柳澤氏。
最後に、日本の対中国、対アメリカの外交政策における政治課題を提起して、講義を終えました。
講義終了後には質疑応答の時間が設けられ、「イラク戦争ななぜ間違いだったのか」「どうしたら、現在世界で起きている戦争が止められるか」「第3次世界大戦は起こりうるか」といった質問に対し、丁寧な回答をいただきました。
同講座は本学学生が履修するほか、一般の方も受講可能な公開講座として開講されています。
各回の講師・テーマ、聴講のお申し込み方法は以下ページよりご確認いただけます。