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沖縄を再び戦場としないために、日本は何をすべきか。 特別講座「未曽有の大変局のなかでアジア共同体の未来を語る」第3回

地域間連携

2024.10.24

本学では、一般財団法人ユーラシア財団from Asia助成による特別講座を開講しています。
今年は「未曽有の大変局のなかでアジア共同体の未来を語る」という全体テーマのもと、アジアの諸問題に関する専門家や有識者を講師として招へい。
全15回を予定しています。

10/3(木)に開催された第3回は、講師として「ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会」呼びかけ人、「沖縄・琉球弧の声を届ける会」共同代表の与那覇恵子氏にご登壇いただきました。

今回の講義テーマは「沖縄から見える日本〜戦争前夜の日本〜」。

大学で教鞭を取られていた沖縄出身の与那覇氏に、沖縄から見た「戦争に向かっていく日本」の現状について、沖縄の歴史、現地の苦悩や期待とともに、お話しいただきました。

講義冒頭、与那覇氏は、日本国内で唯一地上戦が行われた沖縄で現在まで続く基地被害、米兵による犯罪など長年の深刻な問題について言及。
1972年に日本に復帰した後も増え続ける米軍基地や近年急増する自衛隊基地による、沖縄県民負担について、どんなに声をあげても届かない現状を訴えました。

与那覇氏

続いて、2021年12月24日の日米共同作戦計画のもと「台湾有事」の際に南西諸島が戦場になるとの報道を受けて、「沖縄を二度と戦場にさせない」を目標に活発化する市民運動について解説。
そのうえで、「日本政府は『反撃能力保有』の名のもと軍事行動への転換を進めている」「その先には、日本が戦争責任を負う可能性をはらんでいる」(与那覇氏)との懸念を示しました。

講義後半は、「台湾有事=日本有事か」、「台湾有事をしかけるのは中国か米国か?」、「米軍は日本を助けるのか」などといった疑問を提起。
ウクライナ戦争の背景や現状から推察される「日本が向き合う戦争の本質」について言及しました。
「『台湾有事』に揺れる日本の進むべき道は、米国に惑わされることなく、国として自決権、自治権、国家の尊厳を取り戻すことではないか」と語った与那覇氏。
「子どもや若者を守る、日本の未来を守るための平和運動の力を信じたい」として、講義を締めくくり、最後に学生たちに向けて「海外へ行って、日本を見てほしい」「講義やディベートの場では、ぜひ積極的な意見を発表してほしい」とアドバイスを送りました。

同講座は本学学生が履修するほか、一般の方も受講可能な公開講座として開講されています。
各回の講師・テーマ、聴講のお申し込み方法は以下ページよりご確認いただけます。

一般財団法人ユーラシア財団 from Asia 助成 特別講座