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教育・研究
[公開講座]すみだ北斎美術館館長が葛飾北斎の多彩な表現を語る。公開講座第5回報告
2020.11.18
11/10(火)、2020年度の「公開講座 リベラルアーツ」第5回をZoomウェビナーにて開催。
今年度講座の締めくくりとして、講師にすみだ北斎美術館館長の橋本光明氏をお招きし、「北斎の多彩な表現と生き方」というテーマで葛飾北斎作品についてお話しいただきました。

すみだ北斎美術館館長の橋本氏
講演は、新型コロナウイルス感染症の話題から江戸時代の感染症と対策についてのエピソードからスタート。
江戸時代に天然痘が流行した際には疫病神から家を守るという「鐘馗(しょうき)」の幟絵が人気を博し、中でも葛飾北斎の描いた赤い鐘馗は好評だったそうです。
その後は、多彩な作品解説を通じて、葛飾北斎の表現手法と表現分野、海外での人気についてなど、多方面から葛飾北斎の生き方に迫るお話をしていただきました。
今回の講演で取り上げられたのは、『神奈川沖浪裏(1831-33)』のほか、妖怪絵、精細な拳銃の分解図、着物のデザイン画、遠近法を独自に発展させた構図法など卓越した画法の解説図まで、科学的・文学的にも精通した北斎ならではの幅広い作品群。
同じ浮世絵でも木版画ゆえに何百枚も刷られるうちに刷りや色の違いが出て価値も変わってくること、特にこだわって描かれた・意図が込められたポイントなど、作品をより深く鑑賞するためのヒントも色々と教えていただきました。

日本画と西洋画が融合し、北斎の宇宙観が表現されている『上町祭屋台天井絵≪男浪(おなみ)≫(1845)』の解説
講演開始前に、「オンライン開催はどこからでも参加できるメリットがあるが、本物を直接見るということも大切」と語っていた橋本氏。
講演後には「受講生の反応を見ながら講演したかった」との言葉もありましたが、受講生との質疑応答も盛り上がり、実際に美術館で絵を見てみたいという気持ちが高まるご講演でした。

今期の全プログラムを終え、受講生の皆様への御礼を述べる人間科学部の澁谷智久教授