Featured Story
本庄ゼミ×ベルギー発の家具ブランドのSNSマーケティングに密着!【前編】
2022.08.30
実践を通じ、肌でマーケティングを経験する意味とは――。 「インターネットによる情報過多の現代だからこそ、(頭で)知っていることと、実際に経験することの違いに大きな成長の差が生まれる」…こう言うのは、現代経営学部の本庄加代子准教授。 現代経営学部の「マーケティング戦略/プロジェクトマネジメントゼミ(本庄ゼミ)」では、企業に対して、アイデアをプレゼンするだけに留まらず、実際にマーケティングを実践し、効果測定まで行う、超実践型のPBLを実施。特に今回は、コロナ禍の逆風を受けながら、大規模な予算を獲得して、インフルエンサーを用いたインスタグラムマーケティングを展開し、一般企業もまだ手探りの領域に挑みました。 産学連携先は、ベルギー発の家具ブランド・株式会社SIXINCH.ジャパンです。そのゼミ活動の様子を前編・後編にわたってお伝えします!
Topics 1
SNSマーケティングの目的は?
東京のど真ん中にあるTOGAKUの周辺には、さまざまな企業が存在しています。現代経営学部では、そのメリットを活かし、各ゼミが産学連携プロジェクトを活発に実施。
「マーケティング戦略/プロジェクトマネジメントゼミ」(本庄加代子准教授)は、昨年4月からベルギー発の家具ブランド・株式会社SIXINCH.ジャパンとコラボし、約10カ月に及ぶプロジェクトを行いました。
sixinchの家具は、「MIYASHITA PARK(渋谷)」や「京橋エドグラン(京橋)」、「横浜ワールドポーターズ(横浜)」などの有名施設にも置かれているため、人々が目にしたり、触れたりする機会は多いといえます。しかし、BtoB事業(企業間取引)が中心ということもあり、一般客、特に若年層にはどんなブランドなのかまだあまり知られていないのが現状です。
そこで、本庄ゼミの4年生(当時3年生)15名は、SNSを活用した本格的なマーケティング戦略である「タグリンピック」キャンペーンを開催し、インフルエンサーを使い、20~30代女性へ拡散と認知拡大を目指すことに。その過程でどんな課題や学び、成長があったのかを詳しくレポートします!
Topics 2
STEP.1 企業を知る、課題を特定する
昨年4月のキックオフの段階では、「何をテーマにプロジェクトを進めていくのか?」さえ未定の状態でした。ゼミ生たちはSIXINCH.ジャパンの方々にお話を伺い、ブランドへの理解を深めるとともに、同社の課題をリサーチすることからスタート。
キックオフの様子はこちら
本庄ゼミが(株)SIXINCHジャパンと産学連携し、企業のブランド戦略について学ぶ
課題を洗い出し、その解決に向けたマーケティング戦略を立てるプロセスでは、各自が意見を持ち寄り、「新商品を提案してみては?」、「SNSを使ったPRをやってみたい」などの声が挙がりました。それらの意見をベースに、ブレーンストーミング(集団発想法)でアイデアを膨らませ、さらにKJ法(アイデアを付箋などに書き出し、グループ化して整理・分析する手法)を用いてまとめていくことに。
アイデアを整理する中で、本庄先生から「単に『したい』だけでなく『期間内で実施できるという、実現性』も重要」との指摘を受け、ハッとしたゼミ生も多かった様子。
「本当に実現できるか?を意識しながら、付箋に書かれたアイデアを皆で肉付けし、具体的な戦略に落とし込んでいきました」(伊良皆桐子さん)
その後はチームに分かれて企画を練り上げていきましたが、真剣に取り組むあまり、ナーバスになるゼミ生も。
「本庄先生から『みんな楽しい?』と聞かれて、答えることができなかった」とは酒井有紀乃さん。でも、「自分が楽しいと思うものでないと、プレゼンする相手に良さは伝わらないので、難しく考えすぎず、楽しもうと思った」そうです。
また、佐々木琉斗さんは「楽しさを各自が意識しながら活動したところ、話し合いが円滑に進むとともに雰囲気が良くなった」と実感したようです。
6月、いよいよSIXINCH.ジャパンに企画をプレゼン。
4チームに分かれ、それぞれ①インフルエンサーマーケティング、②BtoC向けの動画制作、③BtoB展示会向けの動画制作、④ブランドアイコンとなる新製品の開発という異なるアプローチの提案を行いました。
企画プレゼンの様子はこちら
本庄ゼミがベルギーの家具メーカー・SIXINCHジャパンへSNSマーケティングなどを提案。実現に向けて動きだす
ここまでのプロセスを通じてゼミ生たちは、企画を立てる楽しさを体感すると同時に、現実のビジネスの厳しさも学んだようです。
「戦略を立てるにあたっては、企業側の視点で課題を分析することが重要だと感じました。また、企業側が最終的に求めているのは売上拡大であり、プロジェクトを実施することで、『どれだけ売上や認知拡大に貢献できるのか』まで考えることが大切だと痛感しました」(鈴木悠作さん)
Topics 3
STEP.2 戦略アイデアを精緻化する
提案を終えたゼミ生たちは、SIXINCH.ジャパンからいただいたフィードバックを踏まえ、案を絞り込んでいきました。議論を重ねて最終的に採用したのは、①インフルエンサーマーケティングの1案だった「ハッシュタグキャンペーン」となりました。
「コロナ禍という状態の中で、SNSはマーケティング施策として有効であること、そして、期間、予算、効果と実現性のバランスがよかったことが決め手になりました」(本多千草さん)
方向性が決まったら、さっそく戦略の練り直し。企画内容だけでなく、予算とそれに見合うKGI(最終的な目標達成指標)を検討し、SIXINCH.ジャパンに再提案しました。
「約2ヶ月間、ゼミ生同士で議論し合い、練りに練ったことで、説得力のある最終プレゼンに仕上げることができました。それでも、課題や懸念点があがってきたので、まだまだ見直さなくては……。厳しいご意見もいただきましたが、実際に企業で一緒に働いているかのような、とてもワクワクしましたね」(福満響子さん)
プレゼンの様子はこちら
本庄ゼミ×SIXINCHの産学連携プロジェクト、学生が同社ショールームで意見交換
「ハッシュタグキャンペーン」の実現に向けて、本格的に動き出したゼミ生たち。
スケジュールは?役割分担は?など、細かい議論に入っていきましたが、その議論の中でもさまざまな気づきがあったようです。
「本庄先生が、正しい答えを持っている訳では無い。よく考えれば、当たり前ですが、これまで大学での講義を受ける姿勢とは違うものを求められました。議論をしていて、気まずい雰囲気になる場面も……。受け身ではなく、積極的に自分から意見を発することが大事だと改めて感じました。」(鳥居美結さん)
また、本庄先生からは「プロジェクトマネジメントとは」についての講義もあり、そこから得た学びも大きかった様子。
「プロジェクトマネジメントとは、『未知なる目標の実現を、環境変動や属人的要素に過度に依存せずに、目標達成に導く手法』と教えてもらい、まさにこのコロナ禍に求められていることだと実感しました。仲間としっかりコミュニケーションを取り、マネジメント力を強化することが、プロジェクト成功への近道だと実感しました」(石井侑樹さん)
春学期のゼミ活動はここまで。
秋学期以降、「ハッシュタグキャンペーン」の実作業に入っていきますが、その様子は後編でお届けします!
春学期のゼミ活動をまとめた動画はこちら